アーリーミュージックカンパニー
チャペルコンサート
シリーズ2013年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第135回
ジョン・ダウランド生誕450年記念コンサート第ニ夜
ダウランド・リュートソングの魅力

EMC Chapel Concert
Since 1995
No. 135
The 450th Anniversary of John Dowland's Birth
The pleasure of Lute Songs

2013.11.14 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Ivy Chapel
The Early Music Company





ダウランド・リュートソングの魅力

 ダウランドは生涯に4巻のリュート歌曲集を出版しました。第一巻 (1597) は好評につき再販を重ね、多くのイギリスのリュート音楽家を触発しました。第二巻 (1600) には4声体のマドリガル様式に加え、リュート伴奏付の旋律とバスの2声曲、5声とリュート、リュート伴奏の対話形式、といった新しい試みの楽曲も収められており、ダウランド渾身の曲集となりました。第三巻 (1602) にはトレブルヴァイオル付の作品等も含まれ、常に新しい試みをダウランドは世の中に問います。1612年に刊行された最終歌曲集は「巡礼の慰め A Pilgrimes Solace」と題されました。ダウランドは自らの人生を巡礼の旅になぞらえたのでしょうか。ルネサンス様式を高みに極めたダウランドもこの歌曲集ではイタリアからの新しい様式を融合し、時代にふさわしい歌曲集を仕上げました。晩年にはイギリスに戻り宮廷付の楽士になれたダウランド。しかしながら既に年老い過去の人となったダウランドの寂しさをもメランコリーとして受けとめるべきなのでしょうか?


【Voice & Lute】
●Tell me true love 来たれ 真実の愛よ●
真実の愛などどこにある 言葉の中 約束の中 理性 見る事のない熱情の中か
どこにおまえはいるのか なぜこの世はおまえを追放したのか

●Dear, If you change いとしい人よ もしきみが●
優しく 美しく 賢い人よ 僕はなにがあってもあなたへの愛が薄れることはない
だからあなたも揺らいだりくじけたり 変わったりいないでくれ

●Come Ye heavy states of Night 来たれ 重苦しい夜●
来たれ 重苦しい夜 我が父の心を安らげよ 禍々しい調べを我にかせ
我が歌に悲しみの調べを 来たれ悲しみよ 歌う女の目も御身のおかげで 泉に変る

● In darkness let me dwell 暗闇に住まわせておくれ ●
地面が悲しみならば屋根は絶望 楽しい光を私からさえぎるのだ
生きたまま死なせておくれ 真の死がやってくるまで

● Lachrimae ラクリメ Lute Solo●

【4-parts with Lute】
●Say, Love, if ever Thou didst find 愛の神よ かつて出会ったことができある●
類い稀な模範をはたし 変わらぬ心を持った人は女神かはたまた女王か
あの人の美徳は天与のもの あの人だけが愛と美の女王なのだ

●Weep you no more、 Sad fountainもう泣くな 悲しみの泉よ●
悲しみの泉よ 何がおまえを湧き急がせるのか いとしい人の気高い眼差しは
おまえが泣くのを見はしない いまそっと身を横たえ眠っているから

●Come again 帰っておいで●
さあもう一度 愛が呼んでいる 僕の求める喜びを与えよと 甘美に響き合う
心をこめて きみとともに 命果てるばかりの喜びを さあもう一度

●Fine knacks for ladies ご婦人方のお気に入り●
さあお買い得! 安くてすてきな新品です ご立派な贈り物は目くらまし
私のは粗末なものだけど心変わりしない愛こそ掘り出し物

●Shall I strive with words to move? 言葉であの人に訴えるべきか●
喜びもなく 耳を傾けてもらえなくても語りかけるべきか
やさしい愛よ 手をかしておくれ あの人が僕の恋心に冠をくれるよう

●In this trembling このふるえる影に●
私の翼がゆらすあの枝の影の中で 神の歌を私は歌う
暗闇を心から取り 天地を創造し万物をうみだしたもうた方を讃えながら



■平井 満美子/ソプラノ
神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。数少ない古楽の歌い手としてその活動は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。EMC主宰、NHK文化センター講師。
■佐野 健二/リュート
英国・ギルドホール演劇音楽院首席卒業。演奏活動に対し、「ロンドン芸術協会選出新人音楽家」「大阪文化祭賞」等、多数の賞を受ける。2007年、リュート音楽に特化したEMCluteRecordsレーベルを設立、自ら演奏、録音、編集、ジャケットデザインを総合的に行い、発売されたCDは専門音楽誌において優秀録音盤、推薦盤等として評価されている。EMC主宰、相愛大学非常勤講師。
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■進元 一美/ソプラノ  京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業。同大学院音楽研究科修了。在学中よりバロック音楽に興味を持ち、卒業後イギリス、イタリア、フランス各国で研鑽を積む。現在、バロック音楽を中心に演奏活動を行っており、アンサンブルとの共演を含め、数多くのサロンコンサート、ミュージアムコンサートに出演している。
■岡本 雄一/テノール 大阪芸術大学芸術学部音楽教育学科卒業。サントリー賞、学長賞を受賞。同大学芸術専攻科演奏専攻(声楽)、同大学院芸術制作研究科修士課程演奏表現・(声楽)修了。1986年度フランス音楽コンクール声楽部門第3位入賞。ドイツにて国立フライブルク音楽大学マイスターチクルスを修了。
■今泉 仁志/バス 大阪音楽大学卒業。同大学院歌曲専攻修了。大学在学中よりテレマン室内合唱団に所属し受難曲のイエス役を初め多くの演奏会でソリストを務める。ケルト系の伝承歌も学び、古楽演奏へのアプローチの糧の一つとし、様々な演奏形態を展開している。ソロCDアルバム「ダニー・ボーイ」をリリース。タコタコシンガーズ主宰 。

       



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