アーリーミュージックカンパニー
チャペルコンサート
シリーズ2013年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第132回
古典音楽の楽しみ

EMC Chapel Concert
Since 1995
No. 132
The Pleasure of Classical Music

2013.4.4 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Ivy Chapel
The Early Music Company





古典音楽の楽しみ
 西洋音楽様式における18世紀は大きな変化の時代でした。バッハ、ヘンデルに代表されるバロック様式は18世紀半ばに高みを極め完成されました。しかしながら完成は終息をも意味し、新しい様式が登場してきました。モーツアルト、ベートーベンに代表される古典様式です。それに伴い、楽器にも数々の大きな変化があり、バロックにおける鍵盤楽器の花形チェンバロが姿を消し、フォルテピアノが登場し、ルネサンスからバロックの音楽の要であったリュートも使われなくなりました。しかしながら、ギターはそれまでの撥弦楽器の常であった複弦の響きを捨て、6弦単弦の楽器に生まれ変わりました。軽快な楽器に変貌したギターは古典音楽の要求に対応し、サロンの独奏、伴奏楽器として活躍しました。
 グノーは、ロマン派を代表するフランスの作曲家。イタリアで古い音楽も研究したグノーの代表作「セレナーデ」は子守唄。歌詞はロマン派の大詩人ヴィクトル・ユゴー、ギター伴奏は当時のギタリスト・アベルスピエスの手によるものです。
 シューベルトは、ドイツリードの第一人者として有名なオーストリアの作曲家ですが、その作品は多分野にわたっており、「オリジナル舞曲」はヴァイオリン(またはフルート)とギター(おそらくディアベリのアレンジ)の為に書かれた曲です。
 音楽史上最も偉大な音楽家の一人とされるベートーヴェンは、ドイツの作曲家です。壮大なオーケルトラ作品は古典派音楽の集大成ともいえるものですが、いくつかの歌曲は当時、ギター伴奏にアレンジされディアベリにより出版されています。
 ギターの黄金時代である古典期に作曲家、演奏家としてソルは、スペイン・バルセロナ生まれの音楽家。ソルの音楽は、ギターをクラシックの独奏楽器として世間に認知させました。
 モーツァルトはオーストリアの作曲家、演奏家。古典派音楽の代表であり、ハイドン、ベートーヴェンと並んでウィーン古典派三大巨匠の一人とであり、その美しい旋律はギター伴奏にはうってつけです。
 パガニーニはイタリアのヴァイオリニスト、ヴィオラ奏者、ギタリストであり、作曲家である。ヴァイオリニストとしての才能は「悪魔に魂を売り技術を手に入れた」と言われる程でしたが、一時期ヴァイオリンを離れギターに没頭した時期もありました。協奏風ソナタはヴァイオリンとギターが旋律と伴奏を入れ替わりながら奏でられる3楽章の曲です。  ブラーガは、イタリア、ジュリアノーヴァ出身の作曲家。 ブラーガ 自身はチェリストでもあり、代表作とされる「天使のセレナータ」の伴奏はピアノとチェロ(またはヴァイオリン)と記されています。アルペジオと和音中心のピアノ伴奏パートはギターに移し替えてもなんらその魅力を失う事はありません。





The Pleasure of Classical Music

《Charles Francois Gounod グノー 1818-1893 / 歌、ヴァイオリン、ギター 》
Serenade (Berceuse) セレナーデ / Victor Hugo / arr. J.F.Carl Abelspies
今宵 僕の腕に抱かれて君が歌う時 素敵だった日々が思い出させる
眠れ美しい人よ 僕のまなざしの前で

《Franz Peter Schubert シューベルト 1797-1828 / ヴァイオリン、ギター 》
Original Dances オリジナル舞曲

《Ludwig van Beethoven ベートーベン 1770-1827 / 歌、ギター 》
Nur wer die Sehnsucht kennt 我が悩み知る人は / J.W.V.Goethe
憧れを知る人だけが 私の悩みがわかるのです 一人 天を仰ぎ見る
ああ!私を愛する人は遠い 私は胸をかきむしられるのです
Andenken 君を想う/ J.W.V. Goethe / arr. A.Diabelli
夜鳴鳥のさえずりを聴き 夕映えの木陰の泉で 君を想う
どこで君は僕を想ってくれるだろうか

《 Fernando Sor ソル 1778-1839 / ギターソロ 》
Introduction and Variations on a Theme by Mozart, Op.9
魔笛の主題による変奏曲(序奏付)

《Wolfgang Amadeus Mozart モーツァルト 1756-1791/ 歌、ギター 》
Sehnsucht nach dem Fruhlinge 春へのあこがれ / C.A.Overbeck
おいで 楽しい五月 樹々を青々とさせておくれ 小川の辺にはすみれ
ナイチンゲールもカッコーも連れて来て!
Das Lied der Trennung 別れの歌 / K.E.K. Schmidt
僕は君を忘れることはできない ルイーザ 君はどう? 誰かを想い
僕を忘れてしまうなら 神も君を裁く 接吻は僕達のしるしだ

《Niccolo Paganini パガニーニ 1782-1840 / ヴァイオリン、ギター 》
Sonata Concertata 協奏風ソナタ
I.Allegro spiritoso II.Adagio assai espressivo III.Rondeau/Allegretto con brio Scherzando

《Gaetano Braga ブラーガ 1829-1907 / 歌、ヴァイオリン、ギター 》
La Serenata / Der Engel Lied 天使のセレナータ / M.M. Mareello
なんて美しい音色 窓から風にのって聞こえてくるわ これは天使の歌
祝福の光と共に私を呼ぶ お母さん!私は行かなければなりません



■平井 満美子/Soprano
神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。数少ない古楽の歌い手としてその活動は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。EMC主宰、NHK文化センター講師。
■佐野 健二/Lacote Guitar = Gary Southwell 1991
英国・ギルドホール演劇音楽院首席卒業。演奏活動に対し、「ロンドン芸術協会選出新人音楽家」「大阪文化祭賞」等、多数の賞を受ける。2007年、リュート音楽に特化したEMCluteRecordsレーベルを設立、自ら演奏、録音、編集、ジャケットデザインを総合的に行い、発売されたCDは専門音楽誌において優秀録音盤、推薦盤等として評価されている。EMC主宰、相愛大学非常勤講師。
with ■伊左治道生/ Baroque Violin = Didier Nicolas l'aine 17C後半
桐朋学園大学演奏学科ヴァイオリン専攻卒業。東京芸術大学大学院古楽科修了。平成17年度文化庁新進芸術家海外留学生。ミラノ市立音楽院に在籍。イタリアの主要古楽団体で演奏、録音活動に参加。目白バ・ロック音楽祭にてリサイタル。現在、古楽器室内楽シリーズ「amici musicali」を主催、好評を博す。ザ・バロックバンドでは、第42回サントリー音楽賞記念コンサート等でコンサートマスターを務める。
www.rak1.jp/one/user/ilviolinomagico/  
       



クリスタルチャペルコンサート2012へ戻る