アーリーミュージックカンパニー
チャペルコンサート
シリーズ2011年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第124回
夢次元の調べ/イギリスのはやり歌とキャロル

EMC Chapel Concert
Since 1995
No. 124
Mujigen Harmony
2011.12.22 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Ivy Chapel




English Folk Songs & Carols

《キャロル》
◆愛は甦る Love is Come Again◆
《はやり歌》
◆燕の様な彼女 She's like the swallow◆
 彼女はつばめのように高みを舞い 乾く事のない清水のようだ
◆ロンドンデリー・エア Londonderry Air◆
愛しい人よ私には貴方が必要なのです ずっと一緒にいてください
◆ローモンド湖 Loch Lomond◆
私と恋人はもう逢わない 彼は山の道を 私は谷の道をいくのです
◆私は行く道を知っているI know where I’m going◆
誰を愛しているのかわかっています ジョニーの為ならすべてを捨てます
◆パヴァーヌ A Pavan / Edward Collard◆
◆澄み渡る空のひばり The Lark in the clear air◆
雲雀のさえずりに希望を見ました 明日彼女に愛を語ります
◆大胆な近衛兵 The bold grenadier◆
ずるい兵士は若い娘に声をかけ 悲しい想いをさせて去って行く
◆ゴールデン・スランバー Golden slumbers◆
まどろみがおとずれる さあ おやすみなさい 子守唄を歌ってあげるから
《キャロル》
◆コヴェントリー・キャロル Coventry Carol◆
◆リュートブック・ララバイ Lute-book Lullaby◆
◆ウェックスフォード・キャロル Wexford Carol◆
◆そっと揺らして Rocking◆

使用楽器
7-course Lute in G = Martin Haycock 1990
9-course Orpharion = Stephen Barber 1990




イギリスのはやり歌とキャロル
 神を賛える歌「讃美曲」にはしばしば、はやり歌の旋律が見受けられます。教会は地域の人々が集まる場所、一種の社交場であり、そこで歌われる讃美歌になじみのあるメロディーが使われるのは自然な成り行きとも言えます。イギリスはやり歌の代表といえばグリーンスリーブスが挙げられますが、もともとは俗っぽいこの恋の歌も、キャロル集に於ては新年を祝う歌詞に変えられて載せられています。イギリスの讃美歌集にはフォークキャロルともいうべき愛すべき作品がたくさん残されており、英国に於けるフォークキャロルの繁栄は、音楽とキリスト教が人々の生活に根差していることの現われでもあるでしょう。
 イギリスのはやり歌の多くは伝統的なカントリーフォークソングにその源を発しており、17世紀にはT.レイヴンスクロフトやT.プレイフォード等が「はやり歌の曲集」を出版し人気を集めます。18世紀では主教バーシイが古い写本から編纂した「民謡詩集」が、イギリスのみならず、後のドイツロマン主義文学にまで影響を与えたといわれています。ルネサンス期の多くの作曲家もはやり歌に関心をよせており、リュートやヴァージナル音楽、そしてミサ曲等にも民謡を主題として取り入れた芸術性の香りの高い作品を数多く残しています。19世紀にはW.チャペルの「古い時代の旋律」、そして20世紀にはC.シャープが「英国民謡集」等で数多くのエリザベス朝のはやり歌を紹介しており、イギリスの人たちは自国の伝承歌をかけがえのない財産として継承してきているのです。
 イギリスリュート音楽が最も栄えたルネサンス後期は、エリザベス一世の統治期であり、経済、文化、芸術と、総てに花開いた英国の黄金時代でもありました。総ての階級の人々は音楽を愛し、宮廷ではすぐれたリュート弾きを召し抱える事を誇りとし、貴族たちは音楽を自らたしなむ事を自慢とし、人々はうれしいにつけ、悲しいにつけ、自らの気持ちを楽の音に託しました。そして、はやり歌は、その旋律の美しさと愛らしさ故、最も生活に密着した音楽として育まれたのです。
 今宵は,古き良きイギリスのフォークキャロルとはやり歌をリュートとオルファリオンの響きと共にお楽しみ下さい。



●佐野 俊郎/彫刻、ランプ、燭台、ジュエリーの製作
1976年宝塚にジュエリースタジオ、アトリエ・レマンを開設、彫金教室を開く。1990年彫金彫刻の工房、夢次元(むじげん)空間彫金工房及び教室を開き、景観造形物デザイン、モニュメント、レリーフ等立体造形物とジュエリーの製作、及び指導を開始。
受賞暦/大阪市美術館、全関西美術展一席。現在招待作家。読売新聞大阪本社賞。美術文化賞(一席)。京都府知事賞。大阪府知事賞。教育委員会賞。大阪市長賞。文化庁現代美術選抜展出展。国民文化祭高松教育長賞。大分県美術協会会長賞。安田火災美術財団奨励賞、インターナショナルパールデザインフェスティバル。他多数受賞
現在/(社)日本美術家連名会員。美術文化協会運営委員。(社)日本ジュウリーデザイナー協会近畿地区委員長。宝塚デザイン協会会員。伊丹ジュエリーカレッジ講師。夢次元空間彫金工房主催。
●平井 満美子 Mamiko Hirai/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD13点全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。EMC主宰、NHK文化センター講師。

●佐野 健二 Kenji Sano/ リュート
 英国・ギルドホール演劇音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭賞」等、多数の賞を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。2007年、リュート音楽に特化したEMCluteRecordsレーベルを設立、自ら演奏、録音編集、ジャケットデザインを総合的に行い、発売されたCDは専門音楽誌において優秀録音盤、推薦盤等として評価されている。相愛大学非常勤講師。

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