アーリーミュージックカンパニー
チャペルコンサート
シリーズ2011年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第123回
Dowland’s Melancholy ダウランドの憂愁

EMC Chapel Concert
Since 1995
No. 123
Dowland’s Melancholy
2011.10.27 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Ivy Chapel





The Life of great Lutenist / John Dowland 1563-1626
偉大なるリュート奏者の生涯

◆Queene Elizabeth, her Galliard◆
エリザベス女王の為のガリアルド

● The First Book of Songs●
しばらくは休んでくれ Rest a while you cruel cares

●The Second Booke of Songs●
時の長男として Times eldest son
それでは坐り Then sit thee down
他の者たちが When others sing venite

◆King of Denmark, his Galliard◆
デンマーク王のガリアルド

●The Third Book of the lute songs●
時は止まる Time stands still

◆Semper Dowland Semper Dolens◆
常にダウランド 常に嘆く

●A Pilgrimes Solace●
偉大なる神よ Thou mighy God
ダビデの命が What David's life
脚のなえた哀れな男が When the poor cripple

●The First Book of Songs ●
来たれ 深き眠りCome, heavy sleep
 
使用楽器
7-course Lute = Paul Thomson 1986 A=405


ダウランド・リュート歌曲集                               

CD解説より

 1597年にリュート歌曲集第1巻が出版されます。この歌曲集はリュートタブラチュア付きの4声体21曲に加え1曲のリュートデュオで構成されていますが、 タイトルページには「合唱で歌ってもよいし、リュート、オルファリオン(金属弦を張ったリュートと同じ調弦の楽器)あるいはヴィオラ・ダ・ガンバと歌ってもよい」と書かれています。歌とリュート、合唱とリュート、歌とガンバコンソート、歌とリュートとバスガンバ、等々、様々な形態での演奏が可能でした。この多様性と、ダウランドの魅力が相まり、この歌曲集は大変に好評で再販を重ねました。そしてこの曲集を皮切りとして、イギリスでは16名ものリュート演奏家が28冊のリュート歌曲集を出版しました。ダウランドのリュート歌曲集第1巻の成功はイギリスルネサンス後期に華開いたリュートソング楽派というジャンルを確率させたのです。
 1600年にはリュート歌曲集第2巻が出版されました。第一歌曲集では全ての曲が4声体の合唱曲とされていたのに対して、第2巻では全てリュート伴奏による、旋律とバスの2重奏が8曲、4声体12曲、5声体2曲が収められています。第1巻と同じく全て歌とリュートの形態で演奏可能です。第1巻の好評に気を良くしたダウランドの自信があふれた曲集であり、多くの秀作が収められています。
 1603年にリュート歌曲集として第3巻が出版されます。対話形式や5声体の曲が含まれた、時代の流れにも乗った最新版として出版されました。しかし第1刊、第2刊の好評を上回る評価を得たかは疑問が残ります。ただこの曲集にはエリザベス女王へのラブコールともとれる曲が数曲収められており、断ち切れない女王様への憧れの思いが感じられます。
 そして、1611年にダウランドの最終歌曲集となる「巡礼の慰め」が出版されました。第1巻、第2巻、第3巻としてきた歌曲集のタイトルを「第4巻」ではなく「巡礼の慰め」としたのは彼自身の人生を巡礼に準えたのかもしれません。内容的には今まで通りのルネサンス的な有節歌曲に加え、イタリア初期バロックの影響を色濃く受けたモノディーソング的なものや、対話形式、ソロ歌曲から合唱形式に繋がる曲等々、新時代の音楽に共感を覚えたダウランドが感じられます。




●平井 満美子 Mamiko Hirai/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD13点全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。EMC主宰、NHK文化センター講師。

●佐野 健二 Kenji Sano/ リュート
 英国・ギルドホール演劇音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭賞」等、多数の賞を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。2007年、リュート音楽に特化したEMCluteRecordsレーベルを設立、自ら演奏、録音編集、ジャケットデザインを総合的に行い、発売されたCDは専門音楽誌において優秀録音盤、推薦盤等として評価されている。相愛大学非常勤講師。


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