アーリーミュージックカンパニー
チャペルコンサート
シリーズ2011年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第120回
イタリア初期バロック「それは真実なのだ」

EMC Chapel Concert
Since 1995
No. 120
Italian Early Baroque "Et e pur dunque"

2011.4.28 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Ivy Chapel
The Early Music Company





 アーリーミュージックカンパニー・チャペルコンサートシリーズ第120回は、歌とバロックヴァイオリンとリュートによる「イタリアの初期バロック」と題し、16世紀後半から17世紀前半の作品を演奏致します。
 フランチェスカ・カッチーニは「アマリリ麗し」の作曲家として有名なジュリオ・カッチーニの長女であり、作曲家・声楽家・リュート奏者・音楽教師として父親譲りの才能を示しました。
 F.カッチーニ同様、女流作曲家として名を馳せたバーバラ・ストロッツィ。彼女の養父はヴェネツィアの知識人として有名で、彼の主催するサロン「調和のアカデミー」に出入りする多くの優れた芸術家に ストロッツィは触発され個性豊かな作品を数多く生み出しました。
 ジロラモ・フレスコバルディは、大家モンテヴェルディと並ぶ重要な人物であり、モンテヴェルディが主として声楽のスペシャリストであったのに対して、フレスコバルディは器楽、特にオルガンやチェンバロなどの鍵盤音楽の分野で偉大な業績をおさめました。声楽曲にも手を染め、ルネサンス風の有節歌曲からバロックのモノディー様式等、当時の代表的な声楽スタイルに乗っ取った多くの秀作が残されています。
 リカルド・ロニョーニはミラノでヴァイオリン楽派として活躍したロニョーニ一族の筆頭としてしられておりいます。彼の大きな功績はルネサンス期にはともすれば民衆の楽器として扱われていたヴァイオリンの地位を宮廷楽器まで引き上げたこととされています。
 チプリアーノ・デ・ローレはイタリアで活躍したフランドル楽派の作曲家。マドリガーレ「別れの時」は、後にリッカルド・ロニョーニなど、多くの作曲家がこの曲に装飾をつけ、様々な楽器で演奏されるなど、絶大な人気を誇りました。本日は原曲をリュート伴奏の歌で、ロニョーニによる装飾版をヴァイオリンでお楽しみください。
 バルトロメオ・モンタルバーノはボローニャ生まれ作曲家。様々な編成の器楽曲や声楽アンサンブル曲が残されており、パレルモとボローニャで音楽監督として活躍しました。
 タルクィニオ・メルラは主にクレモナで活動していましたが、様式的にはヴェネツィア楽派の作曲家、オルガン、ヴァイオリン奏者と位置づけられています。初期バロックに於ける最も先進的な音楽家の一人であり、新様式を宗教音楽にも適用させました。
 クラウディオ・モンテヴェルディは自らの内にルネサンスからバロックへの大きな音楽的変革を成し遂げた大作曲家です。古い音楽(ルネサンス)の完成度に敬意を払いながらも新しい音楽(バロック)の必然性と可能性を証明し、作品はマドリガーレ、宗教曲、オペラと多岐にわたり、新しい様式をふんだんに取り入れた数々のオペラは近代オペラの始まりとも言われています。




● おお新たなる驚き Aria”O che nuovo stupor”●
《Francesca Caccini カッチーニ (1587-after1641)》
真夜中に天より光が満ちあふれる。天使の歌声が聞こえる
さあ羊飼いよ 主イエスキリストに逢いに行こう

●ヘラクレイトスの恋 L’Eraclito Amoroso●
《Barbara Strozzi ストロッツィ ( 1619-1677)》
私が泣いている訳を聴いてくれ 私が信じ熱愛していた偶像は滅びた
涙はわたしを養い 悲しみはわたしの喜び ため息はわたしを癒す

●アリアと変奏「ラ・フレスコバルダ」Aria con Variazioni detta "La Frescobalda"●

●ロマネスカのアリア Arie di Romanesca●
《Girolamo Frescobaldi フレスコバルディ (1583-1643)》
残酷な時が苦痛へと私をつれもどす 望みは悲しみとともに葬られる
君は冷酷な支配者 苦しみの炎をもやした罪をおわなければならない

●別れの時 Ancor che col partire●
《Cipriano de Rore ローレ (1515-1565) / Riccardo Rognioni ロニョーニ(-1630)》
別れの時はつらい だが再会の喜びはなんとすばらしいことか
日に幾万も貴方と別れ また出会うなんと甘美なことか

●シンフォニア4番 「ジェローゾ」Sinfonia quarta “Geloso”●
《Bartolomeo Montalbano モンタルバーノ ( 1598-1651) 》

●歓喜の歌 Cantate jubilate●
《Tarquinio Merula メルラ (1594/5 -1665》
祝え 琴に合わせて歌え
父と子と聖霊に栄光あれ アレルヤ

●それは本当なのだ Et e pur dunque●
《Claudio Monteverdi モンテヴェルディ ( 1567-1643)》
貴方の美しさは私の太陽だった しかしその信頼は失われる
愛の満足の後には苦悩が待ち受け その嘆きは地獄に勝る

使用楽器
Baroque Violin = Didier Nicolas l'aine 1700年後半
14-course Liuto attiorbato = Junji Nishimura 1985



●平井 満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。EMC主宰、NHK文化センター講師。

●伊左治 道生/バロック・ヴァイオリン
 桐朋学園大学演奏学科ヴァイオリン専攻卒業。デンハーグ王立音楽院、ミラノ市立音楽院に在籍し、2004年に東京芸術大学大学院古楽科修了。宗倫安、小林健次、磯野順子、宗倫匡、若松夏美、エンリコ・.ガッティの各氏に師事。イタリアの古楽団体Accordone、I barocchisti、La divina armonia、Modo Antiquo、La magnifica comunita、Il canto di Orfeo、Le musiche nove などで演奏、録音活動に参加。2010年11月よりイタリアから大阪に本拠地を移し、演奏と後進への指導を行っている。平成17年度文化庁新進芸術家海外留学生。2005年、目白バ・ロック音楽祭にて「バロックヴァイオリン・リサイタル」を開催。2007年より毎年、東京と大阪でリサイタルシリーズ「il violino magico」を主催、現在にいたる。http://www.rak1.jp/one/user/ilviolinomagico/

●佐野 健二/リウトアテオルバート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。EMCluteRecords主宰、相愛大学非常勤講師。



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