EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2010年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第114回
愛すべきイギリスの旋律たち

Crystal Chapel Concert
Since 1995
No. 114
English Airs & Sonatas

2010.3.11 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Crystal Chapel
The Early Music Company



愛すべきイギリスの旋律たち

 本日はようこそご来場下さりありがとうございます。クリスタルチャペルコンサート第114回は「愛すべきイギリスの旋律たち」と題してバロック時代のイギリス作品を演奏いたします。

 17世紀後半、イギリスはチャールズ2世の即位期で大変に裕福な情勢にあり、風俗に対しても以前より寛大な風潮が、人々に様々な娯楽を求めさせました。音楽に関しては、オペラよりも演劇的要素の強い劇音楽がイギリスでは発達したのです。音楽家においては、音楽的繁栄を耳にした多くの作曲家、楽士がヨーロッパ大陸よりイギリスに出稼ぎに来ました。その結果、イギリスバロック音楽には自ずとイタリアやフランスの最先端音楽様式が反映されたのです。
 仕事を求めて出稼ぎにきた音楽家とは一線を画くものの、ドイツ生まれの大作曲家ヘンデルも、ドイツ、イタリアで活躍した後、20代の後半にイギリスへ移住し、ジョージ・フリデリク・ハンデル George Frideric Handel (1685-1759)としてイギリスに帰化し、生涯を英国の音楽家として全うしました。
 バロック時代には多くの外国人音楽家にその地位を奪われた感のある英国人音楽家たちですが、「イギリスのオルフェウス」と称されるヘンリー・パーセル Henry Purcell (1659-1695)は前述の劇音楽作曲家の大家として音楽史上に名を残しています。そしてパーセルの師である John Blow (1649-1708) はパーセルを頂点とするイギリスバロック楽派の草分けであり、多くの秀作を残しました。彼らの作品にも時には色濃くイタリアやフランスの音楽趣味が見受けられます。しかし彼らはそれらに英語の響きを生かしたイギリス音楽特有の美しい旋律を組み合わせ、英国バロックならではの魅力あふれる作品を生み出したのです。

 今宵,歌とリコーダーとリュートによるイギリスバロックをお楽しみください。



《Voice & Lute》
つかの間の音楽 Musik for a while / Henry Purcell
クラローナよ、リュートを置きなさい Clarona, lay aside your lute / John Blow
美女を口説く得意顔の伊達男 Boasting fops / John Blow

《Recorder & Lute》
ヘ長調のソナタ Sonata in F / George Frideric Handel
grave - allegro - alla siciliana - allegro

変ロ長調のソナタ Sonata in Bb / George Frideric Handel
untitled - adagio - allegro

《Lute solo》
シャコンヌ Chaconne / Henry Purcell

《Voice & Lute》
恋の病から逃れようとしても I attempt from love’s sickness to fly / Henry Purcell

《Voice,Recorder & Lute》
嘆きの歌 The plaint / Henry Purcell
泣かせてください Lascia ch’io pianga / George Frideric Handel

●平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。NHK文化センター講師。

●奥田直美/リコーダー
 大阪音楽大学短期大学部フルート専攻卒業。イギリス・ギルドホール音楽院大学院課程古楽科(リコーダー)を演奏家ディプロマを授与され卒業。リコーダーを中村洋彦、向江昭雅、パメラ・トービー、ピアーズ・アダムス、フラウト・トラヴェルソとバロック奏法をスティーヴン・プレストンの各氏に師事。現在、バロックの演奏会のほか、ポピュラー系のCD録音に参加する等、英国に拠点を置き、演奏活動を行なっている。幅広く活動している。2008年10月EMCレコードよりリリースの初CD「エア・アングロワ」はレコード芸術にて推薦盤に選ばれる。。

●佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学非常勤講師。


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