EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2010年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第113回
イタリアン・ディヴィジョン

Crystal Chapel Concert
Since 1995
No. 113
Italian Division

2010.1.14 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Crystal Chapel
The Early Music Company



イタリアン・ディヴィジョン

 2010年最初のクリスタルチャペルコンサートはアメリカ人リコーダー奏者ジョン・タイソンとの共演で「イタリア初期バロックの装飾音楽」をお聴きいただきます。
 16世紀から17世紀、音楽においてはルネサンスからバロックへと様式が移り変わります。ルネサンスの時代は均整のとれたポリフォニー音楽(多声音楽)を基盤としていたのですが、バロック声楽においては、言葉よりも対位法的手法を大事にせざるを得ないポリフォニ一に代わり、言葉の抑揚や意味、そして感情の表出を重んじる伴奏付き単旋律であるモノディーという様式が生み出されました。そこでは言葉と音との結び付き、音楽とは言葉とリズムであり、楽音はそれらをより効果的に助長するものであり、音楽を通じていかに正しく言葉の意味を伝えるかが実践されています。
 そしてルネサンスの器楽曲は声楽曲より派生したととらえられていたものの、言葉を持たない器楽曲は、旋律をディヴィジョンと呼ばれる技法で装飾しました。即興的に奏でられていたルネサンスのその手法は後の時代の変奏曲等の確立へとつながっていきました。
 16世紀後半にイタリアで実践された器楽曲における装飾法はディミニューションと呼ばれ、まさに新しい時代の器楽曲として隆盛を極めました。本日演奏いたしますリュート伴奏付きのリコーダーソロ曲はこの形式で書かれており,ジョン・タイソンの即興を織り交ぜた形で演奏いたします。
 バロック歌曲としては最も有名な「アマリリ麗し」も本日はカッチーニの原曲に続けて、ナウバッハがディミニューションを施した「装飾的アマリリ」もお聴き下さい。

 では、今宵初期バロックに花開いたイタリアの装飾芸術音楽の数々をお楽しみください。



Programme

《Voice,Recorder & Lute》
おお、ロゼッタ O rosetta, che rosetta / Claudio Monteverdi
リディアはわが心のとげ Lidia spina del mio core / C.Monteverdi

《Recorder & Lute》
美しい花  Petite fleur coincte et jolye / Giloramo Dalla Casa
花咲く日々に Tant que vivray / Claudin de Sermisy

《Voice & Lute》
アマリリ麗し Amarilli mia bella
                       Giulio Caccini / Giovanni Nauwach

《Lute solo》
パッサカリア Passacaglia / Alessandro Piccinini

《Voice & Lute》
 静かな情念が燃え Ardo in tacito foco / Barbara Srrozzi 

《Recorder & Lute》
我が愛する主人よ Signor mio caro / Cipriano da Rore
新しいコントラパッソ Contrapasso Nuovo / Caroso

《Voice,Recorder & Lute》
甘美に歌うあの小鳥は Quel augellin che canta / Salamone Rossi

Mamiko HIrai / Soprano
John Tyson / Renaissance Recorders
Kenji Sano / Renaossance Lute, Liutoattiorbato


●平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。NHK文化センター講師。

●ジョン・タイソン John Tyson/リコーダー
 フランス・ブリュッヘンに学び、現在アメリカにおいて最も国際的に活躍しているリコーダー秦者の一人である。Erwin Bodky 国際コンクールに優勝し、イタリア、ドイツ、イギリス、スコットランド、チリ、カナダ、スペイン、台湾、そしてアメリカ全土の主要アンサンブルのソリストとして演奏活動を行っている。彼のソロCD「Something Old Something New」の収録曲はバロック音楽より現代の作品にまで及び、アメリカン・リコーダー誌に“重要な新録音”と絶賛される。即興演奏も得意としルネサンス音楽の即興グループ「ルネソニックRenaissonics」を主催している。ボストンのニューイングランド音楽院で教鞭を取り、毎夏イタリア・ウルビーノで行われる古楽講習会の講師も努めている。

 ●佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学非常勤講師。


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