EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2009年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第112回
夢次元の調べ ルネサンス・クリスマス

Crystal Chapel Concert
Since 1995

No. 112
Mujigen Harmony
Renaissance Christmas
2009.12.10 19:30pm
Senri Hankyu Hotel Crystal Chapel




夢次元の調べ ルネサンス・クリスマス
  
 本日はようこそご来場くださいましてありがとうございます。「夢次元彫刻の調べ」と題しまして 夢次元彫刻と明かりの中、歌とリュート、オルファリオンによるイギリス古謡とキャロル、そしてフランスのクリスマス曲とアヴェ・マリアをお聴きいただきます。
 
 17世紀のイギリスは経済、文化ともに花開いた黄金時代でした。音楽もその例に漏れず、ルネサンス・イギリスでは今なお世界中で愛されているバラードの多くが生みだされました。うれしいにつけ悲しいにつけ、自らの気持ちを歌に託した素朴で調子のよい民衆の歌。華やかでありながらも悲恋を楽しむ少し気取った責族の歌、等々。すべての階級の人々の生活の一部として音楽は浸透していたのです。
 イギリスのはやり歌の多くは伝統的なカントリーフォークソングにその源を発しており、17世紀にはT.レイヴンスクロフトやT.プレイフォード等が「はやり歌の曲集」を出版し人気を集めます。18世紀では主教バーシイが古い写本から編纂した「民謡詩集」が、イギリスのみならず、後のドイツロマン主義文学にまで影響を与えたといわれています。ルネサンス期の多くの作曲家もはやり歌に関心をよせており、リュートやヴァージナル音楽、そしてミサ曲等にも民謡を主題として取り入れた芸術性の香りの高い作品を数多く残しています。19世紀にはW.チャペルの「古い時代の旋律」、そして20世紀にはC.シャープが「英国民謡集」等で数多くのエリザベス朝のはやり歌を紹介しており、イギリスの人たちは自国の伝承歌をかけがえのない財産として継承してきているのです。
 はやり歌の旋律は神を賛美するキャロル(賛美歌)にも数多く使われています。キリスト教社会で教会は生活の中心地であり、皆が集まる場所、すなわち一種の社交場でもありました。そんな教会で信仰を表す歌に馴染みのあるメロディーが使われる事はごく自然な成り行きでありました。音楽とキリスト教が人々の生活に根差していることの現われでもありましょう。
 
 それでは今宵、夢次元彫刻の幻想的な明かりと共に一足早いルネサンスのクリスマスをお楽しみ下さい。



Programme


ローモンド湖 Loch Lomond
私の行く道を知っている I know where I'm going
ゴールデン・スランバー Golden slumbers
イタリアン・グラウンド Italian Ground
 
新聖夜 Noel Novelette
たいまつかざして Un flambeau
アヴェ・マリア Ave Maria
 
ウェックスフォード・キャロル Wexford Carol
お告げのキャロル Salutation Carol
リュートブック・ララバイ Lute Book Lullaby
天使ガブリエル The Angel Gabriel
東国の三人の王 Kings of Orient
そっと揺らして Rocking


使用楽器
7-course Renaissance Lute = Martin Haycock 1990
9-course Orpharion = Stephen Barber 1990


●佐野俊郎/彫刻、ランプ、燭台、ジュエリーの製作
 1976年宝塚にジュエリースタジオ、アトリエ・レマンを開設、彫金教室を開く。1990年彫金彫刻の工房、夢次元(むじげん)空間彫金工房及び教室を開き、景観造形物デザイン、モニュメント、レリーフ等立体造形物とジュエリーの製作、及び指導を開始。
 受賞暦/大阪市美術館、全関西美術展一席。現在招待作家。読売新聞大阪本社賞。美術文化賞(一席)。京都府知事賞。大阪府知事賞。教育委員会賞。大阪市長賞。文化庁現代美術選抜展出展。国民文化祭高松教育長賞。大分県美術協会会長賞。安田火災美術財団奨励賞、インターナショナルパールデザインフェスティバル。他多数受賞
 現在/(社)日本美術家連名会員。美術文化協会運営委員。(社)日本ジュウリーデザイナー協会近畿地区委員長。宝塚デザイン協会会員。伊丹ジュエリーカレッジ講師。夢次元空間彫金工房主催。

●平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。NHK文化センター講師。

 ●佐野健二/ルネサンスリュート、オルプァリオン
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学非常勤講師。


クリスタルチャペルコンサート2009へ戻る