イタリアのバロックダンス バロックダンスはフランス宮廷で完成され他の国々に広がっていった。これを可能にしたのは当時の舞踏教師らと舞踏譜である。「バレット」はボローニャの貴族学校のダンス教師だったガナゼッティが振り付け、エヴァンゲリスタが舞踏譜に記録したものである。イタリアの貴族学校は17世紀末にはフランス人教師を雇っていたが、18世紀に入ると彼ら自国の教師がフランスのダンスを教えた。 一方、ベネチアの舞踏教師ランブランツィは、「劇場ダンスへの新奇な手引書」で振り付けのアウトラインのみを記述し楽譜や絵と共に示して、実際の振り付けはダンサーに委ねた。「コンタディネッタ」のようにペザント(農民)やコメディア(喜劇)の登場人物などをテーマとした愉快なダンスが多い。舞踏譜は無いが、例示されているステップからフランスのスタイルで踊られていた事がわかる。 プログラムではフランスの劇場用ダンスをはさみ、後半は英国で踊られたダンスにも触れたい。 岡山朝日高校同窓会公式Webサイト/全国で活躍する同窓生からメッセージ/より抜粋 宮廷舞踏は、おもに15世紀初頭のルネサンスから18世紀末の貴族社会の崩壊まで、つまり宮廷文化が咲き誇った時代、その文化の中心にあった舞踏を歴史的資料から研究し、上演するものである。広義には中世や18世紀始めまでを含んでいて、英国ではアーリーダンスと総称されている。ルネサンスダンス、バロックダンスと時代別に呼ぶこともできる。 ◯ 宮廷では舞踏がマナーの一環として学ばれていて、舞踏と共に貴族らしい所作を学んだ。舞踏教師は宮廷に必須のもので、王侯貴族に仕えたり、上流の家庭に出向いて教えたりしていた。彼らは舞踏を教えるだけでなく振付もして、小型バイオリンなどの伴奏楽器を演奏し、作曲をすることもあった 。 また舞踏の振付が添付されたマナーの本を書き記し、バロック時代には毎年宮廷で課題となる舞踏集も出版した。それらは、古い時代には言葉で書き記され、バロック時代には舞踏譜という記号を用いたシステムが発明された。こういった資料を読みとり、解釈することも面白さの一つである。 いずれにしても、資料が残されているおかげで、研究できるのであり、どう解釈・再現するかというのが、一人一人の感性と研究の成果でもある。資料を読んでいると当時の振付家たちが考えていた事が、すっと頭に浮かぶことがあり、その瞬間彼らがすぐそばにいるような気がするのである。 湯浅宣子 |
●湯浅宣子/バロックダンス
立教大学卒業。教会音楽学校他で古楽演奏を学ぶ。バロックダンスをP.ウェイト、ルネサンス、カントリーダンスをP.ディクソン、D.クリックシャンク各氏に師事、バロックダンスをP.-W.ボーゲス、T.ベアード、K.ピアース各氏に学び、古典マイムをS.ボーデン氏に学ぶ。2004、06年英国コンソート・デ・ダンスバロック日本公演ツアーを企画・出演。毎年英国で古楽祭、ダンス公演に出演、国内各地で講習、公演を行っている。舞台衣装をすべて考証し自作。平成20年度「岡山県芸術文化賞」受賞。英国コンソート・デ・ダンス・バロック所属、英国ロスティボリ・ルネサンスダンス・ゲストダンサー、英国アーリーダンスサークル会員。岡山アーリーダンスクラブ代表。
●平井満美子/ソプラノ
神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。アーリーミュージックカンパニー主宰。NHK文化センター講師。
●佐野健二/バロックギター、リウトアテオルバート
英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。現在、相愛大学非常勤講師、アーリーミュージックカンパニー主宰。2007年EMCレコード設立。