EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2009年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第110回
Se l’aura spira そよ風ふけば

Crystal Chapel Concert
Since 1995

No.110
Se l’aura spira

Mamiko Hirai/Soprano
Kenji Sano/Lute

2009.8.13 19:30PM
Senri Hankyu Hotel Crystal Chapel
The Early Music Company
http://www.emclute.com/



  アーリーミュージックカンパニーは2007年にEMCレコードを設立し、歌とリュートの音楽を中心にCD録音をして参りました。
 本日のクリスタルチャペルコンサートは2009年8月にリリースしました新CDイタリア初期バロック歌曲集「そよ風吹けば」の発売記念として、その収録曲より演奏致します。

<以下ライナーノートより抜粋>
 時代は16世紀後半、音楽様式はルネサンスからバロックに大きく移り変ります。フィレンツェのジョヴァンニ・デ・バルディ伯爵邸に集まった貴族や音楽家、詩人、哲学者といった知識階級の人たちが音楽における「古代ギリシャ音楽の復興」を論じ合いました。「カメラータCamerata」と呼ばれた彼らが新しい音楽のあり方を提唱し、バロック音楽の幕を開けたのです。
 初期バロック歌曲におけるモノディー様式の登場です。モノディーとはルネサンスのポリフォニー(多声部)に対して単旋律の独唱歌曲の意味であり、旋律を支える伴奏には低音部旋律のみが書かれた即興的な通奏低音の手法も確立されました。もともと歌の為の旋律は歌詞の内容にふさわしいのが当たり前であるべきなのですが、ルネサンスのポリフォニー形式では言葉が多声部で同時進行して聞き取りにくなります。また同じ旋律に2番、3番と違う歌詞を割り当てる有節歌曲でもすべての言葉の意味と抑揚を生かしきる事は出来ませんでした。そのアンチテーゼとして生まれたモノディーは、バロック歌唱の中心的存在となったのです。
 しかしながら一夜にして世の中は変わるものでもなく、16世紀後半から17世紀初頭にかけてのイタリア歌曲には新しいバロックのモノディー様式と共に昔ながらのルネサンス的様式も根強く残ります。快活で明るくダンス的な曲にはルネサンス的なリズミックな旋律が反復される有節歌曲が好まれました。そしてそれらのスタイルの異なる楽曲の共存は結果として17世紀の声楽曲に多彩な表現力を与えました。・・・(後略)

 では今宵、当時最も愛好されたリウトアテオルバート、キタローネの響きにのせた初期バロックのイタリア歌曲をお楽しみ下さい。



Programme



そよ風吹けば
Se l'aura spira / Girolamo Frescobaldi (1583-1643)

輝く麗しの瞳もて
Con le luci d'un bel ciglio / Giulio Caccini (1545-1618)

泉で 野原で
Al fonte, al prato / Giulio Caccini

ロマネスカのアリア
Arie di Romanesca* / Girolamo Frescobaldi

優しくしておくれ 私の涙よ
Intenerite voi, lagrime mie* / Sigismondo d'India (1582-1629)

いけない いけない 私の心よ
No, no, mio core / Giacomo Carissimi (1605-1674)

私の涙に獣たちも
Piangono al pianger mio / Sigismondo d'India

東の門より
Dalla porta d'oriente / Giulio Caccini

私は見ん 我が太陽を
Vedro'l mio sol* / Giulio Caccini

トッカータ第一番
Toccata No.1* / Giovanni Girolamo Kapsperger (1580-1651)

愛する人よ これは何
Amor mio, che cosa e questa? / Giacomo Carissimi

嫉妬
La Gelosia / Luigi Rossi (1597-1653)

平井 満美子 / ソプラノ
佐野 健二 / リウトアテオルバート、キタローネ*

使用楽器
14-course Liuto attiorbato A=415 / Junji Nishimura 1985
14-course Chitarrone A=415 / Martin Haycock 1999*

●平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。アーリーミュージックカンパニー主宰。NHK文化センター講師。

●佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。現在、相愛大学非常勤講師、アーリーミュージックカンパニー主宰。2007年EMCレコード設立。


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