EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2008年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第105回
バロック宮廷ダンスの楽しみ

2008.10.9 19:30 PM
湯浅宣子/バロックダンス 平井満美子/ソプラノ 佐野健二/ルネサンスリュート、リ ウトアテオルバート



 105回目のクリスタルチャペルコンサートは バロックダンサー湯浅宣子さんをお迎えして「バロック宮廷ダンスの楽しみ」です。
 10月1日発売の新CDは、ムルシアのギター曲と当時の舞踏譜を湯浅宣子が検証し、実 際に踊れる寸法で演奏されたバロックギター独奏作品集です。本日はそのムルシアの 『ギターによる伴奏の概要 Resumen de acompanar parte con la quitarra (1714)』 よりギターソロと踊り、フランスバロックの宮廷歌曲、そしてイギリスのオルフェス と呼ばれたヘンリー・パーセルの歌曲と当時ロンドンの劇場で踊られていた舞踏を演 じます。
<湯浅宣子によるCDライナーノートより抜粋>
 太陽王としてフランスに絶対王権を確立したルイ14世は音楽やダンスの庇護にも積 極的だった。 1661年王立舞踏アカデミーを設立しフランス宮廷におけるダンスの発展 を奨励、ダンス教師に命じて舞踏の記譜法を確立させた。 これは開発者ボーシャン Pierre Beauchamp と、『コレグラフィー (舞踏記譜法) Choregraphie (1700)』 とし て出版した フイエ Raoul-Auger Feuilletの名をとってボーシャン=フイエ・システム と現在呼ばれている。 このシステムにより約350の舞踏譜が残されている。フランス では毎年秋に舞踏譜集 Recueil de danses が発表され、翌年の舞踏シーズンのレパー トリーとして学ばれた。 フイエ自身が1702年出版の舞踏譜集の序言に書いているよう に、この舞踏譜集により「ダンスの中心地パリから遠く離れて住む人々が舞踏会用の 新しいダンスを学ぶ」事も出来たのである。 ボーシャン=フイエ・システムによりフ ランス宮廷のダンスは各国の宮廷へと広がり、宮廷文化の模範とされた。
 それでは今宵、EMCレコードの新CD発売記念コンサートとして18世紀のスペイン、フ ランス、イギリスに花開いた音楽と舞踏をお楽しみ下さい。



バロック宮廷ダンスの楽しみ

●シャコンヌ“Chacone” :Henry Purcell 振付/ Isaac 曲●

●アルマンド“L'Allemande” ●
Santiago de Murcia 振付/Louis-Guillaume Pecour 原曲/ Andre Campra
●魅力的な征服者“Le Charmant Vainqueur” ●
Santiago de Murcia 振付/Raoul-Auger Feuillet 原曲/Anon

■愛すべき征服者 l'Aimable Vainqueur : Santiago de Murcia ■
■ラ・ブルゴーニュ La Borgogne : Santiago de Murcia ■
Courante - Boree - Sarabanda - Paspied

●愛すべき征服者“l'Aimable Vainqueur” ●
Andre Campra (“Hesione” より) 振付/Louis-Guillaume Pecour
愛すべき征服者よ 心の暴君よ あなたの甘い言葉に満ちた武器で私は魅了され る
情熱の輝くたいまつであるあなたは 私たちの心を捉える

■Objet dont les charmes si doux 甘い魅力の持ち主 : Antoine Boesset (1586 ?1643)■
私はすっかりあなたの虜 美しい目の一瞥はどんな男もあなたへとなびかせる
天があなたに与えなかった物はない 私はこの喜びのあまりやはり死んでしまいそ う

■Ma belle si ton ame 私のいとしい人よ ■
愛するやさしい炎がつくのを感じる 若さは逃げすぐに夜の影に取り囲まれる
ねたみや心配をなくし さあ自由なこのときを生きよう

●ルール“l'Aimable Vainqueur” ●
振付/Louis-Guillaume Pecour 原曲/ Andre Campra (“Hesione” より)
●リゴドン“Rigadon for a Woman” ●
振付:Kellom Tomlinson 曲:John Baptiste Loeillet

■Musik for a while つかの間の音楽:Henry Purcell ■
つかの間 悩みをまぎらわせておくれ 復讐の女神アレクトが
死者の永遠の縛めを解き放ち 蛇がその頭から落ち 鞭がその手から落ちるま で…

■I attempt from Love's sickness to fly 恋の病から逃れようとしても:Henry Purcell ■
恋は運命より力強く 情容赦がなく破滅へとかり立てる 憎しみさえも愛させる の
恋の病から逃れようとしても無駄なこと 私自身が熱であり苦しみなのだから

■If music be the food of love 音楽は愛の糧:Henry Purcell ■
あなたの眼 仕草 言葉 すべてが音楽その喜びは私のすべての感覚を楽しませ る
あなたの魅力は私を滅ぼさずにはおかない あなたの腕の中に救ってくれない限 り

●メヌエット“Minuet” 振付:Isaac 曲:Henry Purcell / Fairest isle ●
すべての島にまさる美しい島 喜びと愛の島 ヴィーナスはここに住いを定め
嫉妬 絶望をとりのぞく すべての若者は義務を果し 乙女は感謝の気持ちをあらわ す

14-course Archlute = Martin Haycock 1999
5-course Baroque Guitar = James Bisgood 1982


●湯浅宣子/バロックダンス
 立教大学卒業。教会音楽学校他で古楽演奏を学ぶ。バロックダンスをP.ウェイト、 ルネサンス、カントリーダンスをP.ディクソン、D.クリックシャンク各氏に師事、バ ロックダンスをP.-W.ボーゲス、T.ベアード、K.ピアース各氏に学び、古典マイム をS.ボーデン氏に学ぶ。2004、06年英国コンソート・デ・ダンスバロック日本公演ツアー を企画・出演。毎年英国で古楽祭、ダンス公演に出演、国内各地で講習、公演を行って いる。舞台衣装をすべて考証し自作。英国コンソート・デ・ダンス・バロック所属、 英国ロスティボリ・ルネサンスダンス・ゲストダンサー、英国アーリーダンスサークル 会員。岡山アーリーダンスクラブ代表。


●平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、 E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを 中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを 持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、 その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野 健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュ オリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。アーリーミュージック カンパニー主宰。NHK文化センター講師

●佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J. ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。 演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選 出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」 「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサ ンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音 活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。 現在、相愛大学非常勤講師、アーリーミュージックカンパニー主宰。2007年EMCレコー ド設立。



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