EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2008年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第101回
イングリッシュ・バラード

2008.2.14.
平井満美子/ソプラノ 佐野健二/ルネサンスリュート、オルファリオン



 1995年1月より始めましたクリスタルチャペルコンサートは皆様方のお陰を持ちまして今回で第101回目を迎えます。2008年最初のコンサートは初心に戻ります。私どもの定番とも言える「古きよきイギリスのはやり歌」をお聴き下さい。
 16世紀のイギリスは経済、文化、芸術と、総てに花開いた黄金時代であり、音楽も宮廷人から庶民まで、総ての階級の人々に愛されており、人々はうれしいにつけ、悲しいにつけ、自らの気持ちを楽の音に託したのでした。音楽が奏でられた場所も宮廷、貴族の館、教会、村祭り等々様々で、楽曲も多種多様なのですが、イギリスのはやり歌は、その旋律の心地よさ、親しみやすさ故か、最も生活に密着した音楽として愛され、はぐくまれていきました。そして当然の成り行きとして、はやり歌と当時隆盛を極めていたリュートは結び付きます。リュートは、はやり歌の最も良きパートナーとして楽曲に寄り添いました。そしてメロディックなイギリスのバラード旋律は多くの器楽曲の題材としてももてはやされたのでした。
 本日演奏に使用する楽器は7コースリュートとオルファリオンです。7コースリュートは典型的なルネサンスリュート。アラブを発祥とするこの楽器は十字軍の遠征により西洋に持ち込まれ、その姿と響きは人々の心をとらえ、瞬く間にヨーロッパ全土に
広まりました。そしてオルファリオンは16世紀にリュートの代替楽器として作り出された楽器です。ギリシャ神話の神であるオルフェウスとオリオンの名を組み合わせたこの名前からも当時の人々が理想楽器を作り出そうとしていた事が伺われます。リュートと同じ調弦なのですが、金属の弦がはってあり、リュートとは形態の違いみならず、響きの違いも楽しむ事が出来たのです。どちらもエリザベス一世時代のイギリス音楽にはかかせない楽器です。
 では今宵、国境と時代を超えて、今なお世界中の人々に愛されるイングリッシュ・フォークソングの魅力をご一緒にお楽しみ下さい。

 アーリーミュージックカンパニーでは、千里阪急ホテル・クリスタルチャペルに於いて1995年1月より「佐野健二のリュート音楽の楽しみ」「若手演奏家シリーズ」「セレクテッド・ミュージシャン・シリーズ」「古楽の様々シリーズ」と様々なコンサートを企画開催して参りました。2004年度からはそれらを統合し「クリスタルチャペルコンサート」として平井満美子&佐野健二のシリーズコンサートを開催しています。
 2008年度は101回目より始まります。初心に戻り、歌とリュート音楽のすばらしさを一人でも多くの人にお伝えするべく演奏して参ります。クリスタルチャペルの豊かな響きと雰囲気の中、ルネサンスからバロックの時代に最も花開いたリュート音楽の数々をお楽しみ下さい。




Old English Ballade
古きよきイギリスのはやり歌
平井満美子 voice    佐野健二 lute

Programme

《 Songs from England 》
スカボロ・フェア Scarborough Fair
3羽のからす The Three Ravens
むごい戦争 The Cruel War

《 Lute Solo 》
ロビンは緑の森へ Robin is to the greene wood gone

《 Songs from Ireland 》
庭の千草 The Last Rose of Summer
ロンドンデリー Londonderry Air
柳の園のそばで Down by the Sally Gardens

《 Orpharion Solo 》
行けわが窓辺よリ Go from my window

《 Songs from Scotland 》
アニー・ローリー Annie Laurie
バーバラ・アレン Barbara Allen
ローモンド湖 Loch Lomond
国境の悲しみ The Border Lament

《 Songs from England 》
牡蠣売り娘 The Oyster Girl
ぼろぼろのジプシーたち The Wraggle-Taggle Gipsy
グリーンスリーヴス Greensleeves

Instruments
7-course Lute in G / Martin Haycock 1990
9-course Orpharion in G / Stephen Barbar 1991


●平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD6点全ては雑誌「レコード芸術」の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。アーリーミュージックカンパニー主宰。
●佐野健二/ルネサンスリュート、オルファリオン 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学非常勤講師。アーリーミュージックカンパニー主宰。



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