今回のクリスタルチャペルコンサートは新CD「イギリスのデュエット集 The
English Duet」発売記念としてルネサンス後期のイギリス音楽をお聴き下さい。プログラム後半は新CD収録曲です。以下CDライナーノートよりの抜粋です。 エリザベス一世統治下のイギリスは経済、文化、芸術と、総てに花開いた時代でありました。 音楽も庶民から宮廷人まで総ての階級の人々に愛されており、人々はうれしいにつけ、悲しいにつけ、歌い、楽器を奏でました。 宮廷では優れた音楽家を召し抱える事を誇りとし、また自らも音楽をたしなむ事を自慢とした時代でありました。 16世紀のイギリスでリュートは独奏、伴奏、アンサンブルにと、すべての音楽の形態に好んで用いられおり、優れたリュート奏者たちの活躍が、イギリスルネサンス音楽の黄金時代を築き上げたと言っても過言ではありません。 ●ロバート・ジョーンズ (Robert Jones 1597-1615活躍) は17世紀初頭に5巻のリュートソング曲集を出版しています。 作風にはルネサンス後期に花開いたリュートソング楽派の様式を踏襲しつつも新しいイタリア趣味の音楽にも関心を寄せていた事が見受けられます。 ルネサンスからバロックへの移り変わりの時期に活躍した作曲家らしく意欲的な作品も多く残しているのですが、彼の音楽の魅力はこのCDに収められたような可愛らしい小品によく現れています。 ●トマス・キャンピオン (Thomas Campion 1567-1620) はリュートソングのジャンルにおいてはジョン・ダウランドと並び称されるほどの作曲家として活躍しました。 彼は作曲家のみならず、詩人、内科医、そしてあろうことか殺人者としても有名でした。100曲以上のリュート歌曲をフィリップ・ロセターと共作で作曲し、これら作品は、1601年の 《エアー集 Books of Airs》 と1610年代に出版された4冊の曲集に収められています。 |
平井満美子/ソプラノ
神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究、
中世よりバロックまでのレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動して
いる。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価
されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD6点全ては雑誌「レコード芸
術」の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞して
いる。日本、イギリスにてE.タブと共演、好評を博す。その広い音域と澄んだ歌声は
古楽のジャンルにとどまらず、テレビコマーシャルの音楽にも活躍している。
佐野健二/ルネサンスリュート
西洋音楽学者と邦楽琴奏者を両祖父に、ピアニストの母、声楽家の伯母を持つ恵
まれた音楽環境で幼少より様々な音楽に親しみ、11歳よりギターを独学で始める。高
校卒業後、岡本一郎氏に師事、同年九州ギター音楽コンクール入賞、翌年なにわ芸術
祭で新人賞を受ける。19歳でイギリスに渡り、ロンドンのギルドホール音楽院入学、
ギター、リュート、古楽全般を学ぶ。ギターを、H.クワイン、B.オー、の各氏、ルネ
サンスリュートをA.ルーリー、通奏低音をN.ノースの各氏に師事し、ギルドホール音
楽院を首席でディプロマを得る。在学中、BBC・TV主催のジュリアン・ブリーム・マス
タークラスの受講生に選ばれその模様は全英に放送される。卒業後、J.リンドベルイ
氏にバロックリュートを学ぶ。内外の演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペ
ティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」
「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化
祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・
伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族
音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学非常勤講師。アーリーミュージックカ
ンパニー主宰。