EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2007年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム
 


第97回
「私の涙 LAGRIME MIE」

2007年6月7日(木)7:30PM
千里阪急ホテル・クリスタルチャペル
平井満美子/ソプラノ
佐野健二/アーチリュート、リウトアテオルバート


   今回のクリスタルチャペルコンサートはCD「私の涙 Lagrime mie」の発売記念コンサートとして、バルバラ・ストロッツィ、ジロラモ・フレスコバルディ、ジャコモ・カリッシミの3人のイタリア初期バロック作曲家の作品を演奏いたします。
<以下CDライナーノートより抜粋>
 17世紀のヨーロッパ、神を頂点とする均整のとれたルネサンスの世界観は人間中心のともすれば均整を欠いたバロック的思考へと移り変わります。 当然の事ながら音楽にも大胆な主張や新しい手法が生み出され、文芸復興の国イタリアはバロック音楽に於いてもヨーロッパ中に多大な影響を与えたのでした。 言葉よりも対位法的手法を大事にせざるを得ないルネサンスのポリフォニ一(多声音楽)に代わり、言葉と音との関係がより重視され、言葉の抑揚や意味、そして感情の表出を重んじる伴奏付き単旋律であるモノディー様式が登場してきました。 そこには言葉と音との結び付き、音楽とは言葉とリズムであり、楽音はそれらをより効果的に助けるものであり、音楽を通じていかに正しく言葉の意味を伝えるかが実践されていたのです。
{中略}
 この録音では2台の14コースのテオルボ型のリュートを用いました。 A=415に調律された大型のアーチリュートは指盤上の1コースは単弦、2〜6複弦、盤外弦(ディアパソン)の7〜14は単弦に張られています。 アーチリュートよりも小型のリウトアテオルバートは1弦単弦、2〜14コース(9〜14ディアパゾン)はすべて複弦に張られており、A=466に調律されています。 これらのリュートは16世紀後半、ルネサンスからバロックへの移行期に新時代の音楽に適する楽器としてイタリアで生まれました。 バロック期を通して独奏、伴奏、通奏低音にと幅広く使われた楽器ですが、初期バロック歌曲の感情表出には最もよく寄り添える楽器として愛好されました。




p r o g r a m m e

恋するエラクレイト L'Eraclito Amoroso
Barbara Strozzi (1619-1677)

私の涙 Lagrime mie
Barbara Strozzi

パッサカリアのアリア Aria di Passacaglia*
Girolamo Frescobaldi (1583-1643)

アリアと変奏「ラ・フレスコバルダ
Ario con Variazioni detta "La Frescobalda"*
Girolamo Frescobaldi

秘密の恋人 L'Amante Segreto
Barbara Strozzi

メアリー女王のラメントIl lamento di Maria di Scozia
Giacomo Carissimi (1605-1674)

Instruments
14-course Liuto attiorbato A=466 / Junji Nishimura 1985
14-course Archlute A=415 / Martin Haycock 1999




平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究、中世よりバロックまでのレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD6点全ては雑誌「レコード芸術」の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。日本、イギリスにてE.タブと共演、好評を博す。その広い音域と澄んだ歌声は古楽のジャンルにとどまらず、テレビコマーシャルの音楽にも活躍している。

佐野健二/アーチリュート、リウトアテオルバート
西洋音楽学者と邦楽琴奏者を両祖父に、ピアニストの母、声楽家の伯母を持つ恵まれた音楽環境で幼少より様々な音楽に親しみ、11歳よりギターを独学で始める。高校卒業後、岡本一郎氏に師事、同年九州ギター音楽コンクール入賞、翌年なにわ芸術祭で新人賞を受ける。19歳でイギリスに渡り、ロンドンのギルドホール音楽院入学、ギター、リュート、古楽全般を学ぶ。ギターを、H.クワイン、B.オー、の各氏、ルネサンスリュートをA.ルーリー、通奏低音をN.ノースの各氏に師事し、ギルドホール音楽院を首席でディプロマを得る。在学中、BBC・TV主催のジュリアン・ブリーム・マスタークラスの受講生に選ばれその模様は全英に放送される。卒業後、J.リンドベルイ氏にバロックリュートを学ぶ。内外の演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学非常勤講師。アーリーミュージックカンパニー主宰。


クリスタルチャペルコンサート2007へ戻る