EMC
クリスタルチャペルコンサート
シリーズ2006年
平井満美子&佐野健二
演奏風景、プログラム


第94回
アヴェ・マリアとイギリスのフォークキャロル

2006.12.20 PM7:30
平井満美子/ソプラノ 佐野健二/ルネサンスリュート



  クリスタルチャペルコンサート第94回は年末の恒例になりました「アヴェ・マリアとイギリスのフォーク・キャロル」をお聴きいただきます。
 ラテン語で「アヴェ・マリア」とは「幸いあれ、マリア」の意味を持ちます。もともとローマ・カトリック教会の祈祷文のひとつであった「アヴェ・マリア」ですが、時代を超えた普遍性故、その題材は様々な作曲家のイマジネーションを触発し、数々の名曲を生み出させました。大天使ガブリエルに受胎告知を受け、救い主の母となられた聖マリアを賛美する「アヴェ・マリア」はルネサンスの時代から現代に至るまで世界中の人々に愛されてきました。
 English Folk Carolsとは直訳するとイギリス民衆賛美歌とでもなりましょう。リュートが最ももてはやされていた16世紀イギリスでは神様への賛美の曲は民衆に耳なじみのあるメロディーにのせて歌われておりました。キリスト教が人々の生活に根差している地域の教会は、多くの人が集まる場所、一種の社交場と言え、そんな教会で神の賛美をはやり歌にのせて歌うという事はごく自然な成り行きであったのでしょう。
イギリスのはやり歌の代表といえばグリーンスリーブスが上挙げられますが、もともとは俗っぽい恋の歌だったのですが、キャロル集に於ては新年を祝う歌詞に変えられて載せられています。というわけでイギリスの古い賛美歌集にはフォークキャロルともいうべき愛すべき作品がたくさん残されています。

 本日お聴きいただきます4曲の「アヴェ・マリア」は代表的な作品として知られていますが、必ずしもリュートが使われていた頃に作られた曲ではありません。今宵は穏やかなメロディーに託された神様への賛美歌と共に、様々な時代の「マリア賛歌」を新鮮な響きとしてお楽しみいただければ幸いです。


Ave Maria
&
English Folk Carols

programme


《Ave Maria 》
グノー Charles Gounod / Johann Sebastian Bach
シューベルト Franz Shubert


恵みあふれるマリア、主はあなたとともにおられます。
主はあなたを選び、祝福し、あなたの子イエスも祝福されました。
神の母聖マリア、罪深いわたしたちのために、
今も、死を迎える時も祈ってください。 アーメン。


《English Folk Carols》
愛は甦る Love is Come Again
ウェックスフォード・キャロル Wexford Carol
リュートブック・ララバイ Lute Book Lullaby
天使ガブリエル The Angel Gabriel
東国の三人の王 Kings of Orient
そっと揺らして Rocking

《Ave Maria 》
モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart
カッチーニ Giulio Caccini


使用楽器
7-course lute in G = Paul Thomson 1986 pitch a' = 415 Hz.



平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究、中世よりバロックまでのレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD6点全ては雑誌「レコード芸術」の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。日本、イギリスにてE.タブと共演、好評を博す。その広い音域と澄んだ歌声は古楽のジャンルにとどまらず、テレビコマーシャルの音楽にも活躍している。

佐野健二/リュート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H・クワイン、B.オー、J・ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。相愛大学音楽学部非常勤講師。


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