クリスタルチャペルコンサート第91回はイタリア・バロックの大巨匠「クラウディ
オ・モンテヴェルディ」の歌曲をお聴きいただきます。 16世紀後半、イタリアでは新しいスタイルの音楽を提唱する人たちの手によりバロッ ク音楽の幕が開けられ始めていました。"カメラータ"と呼ばれる彼らは、フィレンツェ のジョヴァンニ・デ・バルディ伯爵邸に集まり古代ギリシャ音楽劇に範を求め、情緒、 感情を表し、語るように歌う、という新しいタイプの音楽を提唱したのです。 その結果、ルネサンスのポリフォニ一(多声音楽)に代わる伴奏付き単旋律であるモ ノディーという様式を提唱、確立したのです。そこでは、言葉の抑揚や意味、そして 感情の表出を重んじ音楽を通じていかに正しく言葉の意味と心情を伝えうるのかが実 践されました。 クラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi, 1567年5月15日〜1643年11月29日)はクレモナで生まれ、マントヴァ公の宮廷楽長、ヴェネツィアの聖マルコ教会 大聖堂の宮廷楽長を歴任しました。作品はマドリガーレ、宗教曲、オペラと多岐にわ たっていますが、新しい様式をふんだんに取り入れた数々のオペラは近代オペラの始まりとされています。 モンテヴェルディの偉大さのひとつにルネサンスからバロックへの大きな音楽的変 革を自らの内に成し遂げたことがあげられます。古い音楽(ルネサンス)の完成度に敬 意を払いながらも新しい音楽(バロック)の必然性と可能性を証明したのです。彼の代 表作をもいえる「アリアンナの嘆き」は深い悲しみに充ちた傑作ですが、音楽におけ る言葉の意味、あり方が実践されており、17世紀の新しい声楽理念の代表作ともされ ています。 本日演奏致しますリュートソロ曲の作者ピエトロ・パオロ・ライモンド(Pietro Paolo Raimondo)の生涯についてはほとんど知られておりませんが、モンテヴェルディ と同じくルネサンスからバロックへの時代の移り変わりに活躍したリュート奏者です。 1601年に出版されたリュート曲集に多数収められてたライモンドの作品からは ルネサンス的な舞曲から初期バロック器楽曲の代表とされるトッカータ等、時代様式を反映 した作風が感じ取れます。 |