EMC
クリスタルチャペルコンサート
2003年
演奏風景、プログラム

古楽の様々シリーズNo.19
イタリアバロック器楽の誕生
向江昭雅、奥田直美/リコーダー 佐野健二/アーチリュート
2003.04.02.


2003.04.02.


ソナタ 3番/カステッロ
Sonata terza / Dario Castello /2rec+bc
17世紀初めのヴェネツィアで、作曲家、管楽器奏者として活躍したカステッロの詳細については、2巻のソナタ集のタイトルページの肩書き以外知られていない。1629年に出版されたこのソナタ集の中に収められている。楽器は「ソプラノ声部」という指定のみであり、当時ヴァイオリンが最も好まれていたものの、リコーダーにとっても貴重なレパートリーである。
 
トッカータ 1番/カプスベルガー
Toccata No.1 / Giovanni Girolamo Kapsberger / lute solo
カプスベルガーはドイツ人ながら1580年頃ヴェネツィアに生まれ、リュート属の名手、作曲家として生涯をイタリアで過ごし、1651年ローマに没す。撥弦特有のトリル、スラー、トレモロ等を大胆に用いた彼の作品は初期イタリアバロックのリュート音楽に於いてはもっとも重要な存在とされている。

ソナタ 2番/フォンタナ
Sonata seconda / Giovanni Battista Fontana / rec+bc
フォンタナのその生涯と作品についての記述は、没後1641年に追悼出版された曲集の序文と目次のみで、おそらく1580年代に生まれ、ブレシア、ヴェネツィア、ローマ、そして最終的にパドゥバでヴァイオリン奏者として活躍したとされている。この「ソナタ2番」は、彼の作品の中でも特に華麗なヴァイオリンの独奏曲として書かれている。

      リチェルカータ 3番/バッサーノ(リコーダー・ソロ)
Ricercata terza / Giovanni Bassano / recorder solo
作曲家、コルネット奏者としてヴェネツィアで活躍したバッサーノ(1558頃〜1617)は、非常に若くからその頭角をあらわし、聖マルコ大聖堂の器楽合奏団のコルネット奏者として、当時最も尊敬されるヴィルトゥオーゾの一人となった。この曲は、1585年に出版された装飾法に関する書の曲例のひとつで、1つの旋律を一貫して装飾していく彼特有の手法である。

トッカータとカンツォン/フレスコバルディ
Toccata, Canzona / Girolamo Frescobaldi / lute solo
ローマのサン・ピエトロ大聖堂のオルガニストの要職にあったフレスコバルディ(1583〜1643)は、古い時代の伝統とバロックの新しい理念を統合し鍵盤楽器の巨匠として名声を得ていた。「トッカータとカンツォン」は《リュートもしくはスピネットの為》と明記された作品。

アリア 5番“ベルガマスカ”/ウッチェリーニ
Aria quinta "la Bergamasca"/ Marco Uccellini /2rec+bc
エステ家宮廷の器楽責任者、モデナ大聖堂の楽長、ファルネーゼ家宮廷の楽長を務めたウッチェリーニ(1603頃〜1680)の作品には、当時ヴァイオリン奏法の開発と並ぶ素晴らしい業績に数えられるものが多い。この曲のタイトル「ベルガマスカ」は、当時北イタリアのベルガモ地方のポピュラーな旋律で、イギリスへは渡った事のない彼が、当時のイギリスで好まれたグラウンド形式を用いて書いたものである。

2nd part

リチェルカータ/ヴィルジリアーノ
Ricercata / Aurelio Virgiliano / recorder solo
名前すら仮名であり、全くなにも知られていないヴィルジリアーノは、とても美しい手稿譜《Il Dolcimero 甘い林檎の木》を残した。これは全1巻で3部から成る。第2部には16の曲が書かれており、この「リチェルカータ」は《リコーダーまたは他の楽器のためのリチェルカータ》とリコーダーのための貴重なオリジナルの曲である。

ソナタ 2番/カステッロ
Sonata seconda / Dario Castello / rec+bc
 「ソナタ 3番」と同じ曲集に収められているこの曲は、同じく「ソプラノ声部」の楽器という指定のみである。この曲集には2つの独奏曲が収められているが、いずれもダイナミックな音型、当時の音楽にとっては斬新な和音を使い、ヴィルトゥオーゾ的な曲に仕上げている。

     シャコンヌ/ザンボーニ
Ceccona / Giovanni Zamboni / lute solo
ザンボーニは17世紀後半から18世紀初頭に活躍した作曲家、撥弦楽器奏者。1718年に出版されたリュート作品集は保守的ながら極めて優れた対位法的な作品と称賛された。

カンツォン 1番/ピッキ
Canzon prima / Giovanni Picchi /2rec+bc
ピッキは作曲家、オルガニスト、リュート奏者として1600〜1625年にヴェネツァで活躍した。パ−ト譜の形で出版された《カンツォーネ・ダ・ソナール集》は、管楽器と弦楽器の様々な組み合わせによる16曲のカンツォーナと3曲のソナタから成り、この曲は2つのヴァイオリンまたは2つのコルネットのための作品である。

野山は春のよそおい/ロニョーニ
Vestiva i colli / F. Rognoni / rec+bc
ロニョーニは16世紀後半〜1626年以前ミラノで活躍した。作曲家、ヴァイオリン、ガンバ、リコーダーの名手で、父リカルド・ロニョーニと同様、音楽理論にも重要な貢献をした。「野山は春のよそおい」は、当時大変好まれていたパレストリーナの5声のマドリガーレが原曲で、1620年ミラノで出版された《種々のパッセージの森》に収められている。

ソナタ 7番/フォンタナ
Sonata settima / Giovanni Battista Fontana /2rec+bc
この曲は、「ソナタ2番」と同じソナタ集に収められ、2本のヴァイオリンもしくはヴァイオリンとコルネットのための曲として書かれている。

Instruments -Pitch a =466-
Renaissance Recorder (Ganassi type) = Shigeharu Hirao 1992
Renaissance Recorder (Ganassi type) = Yuzuru Fukushima 2002,2003
14-course Liuto attiorbato = Junji Nishimura 1985


向江昭雅 Akimasa Mukae/リコーダー
国立音楽大学楽理学科卒業後、イタリアのミラノ市立音楽院古楽器科に留学。リコー ダーを鯉沼広行、山岡重治、ペドロ・メメルスドルフ、室内楽をラウラ・アルヴィー ニ、音楽学を礒山雅、リコーダー製作を平尾重治の各氏に師事。福岡古楽音楽祭、栃 木[蔵の街]音楽祭など各地の音楽祭への出演、講師を務める。バッハ・コレギウム ・ジャパンをはじめ、国内の主要バロック・オーケストラへの出演多数。また、平尾 工房においてリコーダー製作にも携わっている。“イ・カラヴァッジェスキ”主宰。 “シンポシオン”、“レ・サンク・サンス”メンバー。茗溪学園講師。リコーダー・ オーケストラ「デル・ソーレ東京」指揮者。CDに『フランスのリコーダー・トリオ / レ・サンク・サンス』、『うぐいす / レ・サンク・サンス』などがある。

奥田直美 Naomi Okuda/リコーダー
大阪音楽大学短期大学部フルート専攻卒業後、古楽に興味を持ちリコーダーを始める。英国・ギルドホール音楽院大学院課程古楽科卒業。卒業と同時に演奏家ディプロマを授与され、ロンドンと大阪にてリコーダー・リサイタルを開催。リコーダーを中村洋彦、向江昭雅、パメラ・トービー、ピアーズ・アダムズの各氏に師事。現在、アーリーミュージックカンパニー所属。よみうり文化センター講師。

佐野健二 Kenji Sano/アーチリュート
英国・ギルドホール音楽院首席卒業。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)等を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。アーリーミュージックカンパニー主宰。相愛大学、朝日カルチャーセンター講師。


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