EMC
クリスタルチャペルコンサート
2003年
演奏風景、プログラム

古楽の様々シリーズNo.18
バロックの風音
2003.02.05.


2003.02.05.

奥田直美 Naomi Okuda/リコーダー
大阪音楽大学短期大学部フルート専攻卒業後、古楽に興味を持ちリコーダーを始める。1997年渡英、翌年英国・ギルドホール音楽院大学院課程古楽科卒業。卒業と同時に演奏家ディプロマを授与され、ロンドンと大阪にてリコーダー・リサイタルを開催。リコーダーを中村洋彦、向江昭雅、パメラ・トービー、ピアーズ・アダムズの各氏に師事。現在、アーリーミュージックカンパニー所属。よみうり文化センター講師。
太田里子 Satoko Ota/フラウト・トラヴェルソ
相愛大学音楽学部器楽学科(モダンフルート)卒業。第6回全日本ソリストコンテスト、管楽器部門優秀賞受賞。相愛大学研究科修了後、フラウト・トラヴェルソを始める。2000年、昭和音楽大学大学院修士課程音楽研究科(ルネッサンスからモダンまでのフルート科)修了。2002年、第39回ブルージュ国際古楽コンクール、セミファイナリスト。フルートを西岡多美納、伊藤公一、西田直孝、有田正広の各氏に、フラウト・トラヴェルソ及びその他の時代楽器を有田正広氏に師事。
三橋桜子 Sakurako Mitsuhashi/チェンバロ
東京芸術大学音楽学部器楽科チェンバロ専攻卒業。チェンバロを鈴木雅明、シーベ・ヘンストラ、ピエール・アンタイ、アリーン・ジルベライシト、通奏低音を多田逸郎、小島芳子の各氏に師事。1997年よりオランダのユトレヒト音楽院に留学し、1999年ディプロマを取得。1998年ブリュージュ国際コンクール・セミファイナリスト。2000年青山音楽賞受賞。2001年山梨古楽コンクール3位入賞。現在、国内外で活動中。
佐野健二 Kenji Sano/アーチリュート、バロックギター
英国・ギルドホール音楽院首席卒業。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)等を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。アーリーミュージックカンパニー主宰。相愛大学、朝日カルチャーセンター講師。



Programme

トリオソナタ ハ長調/クヴァンツ
Trio Sonata in C major / Johann Joachim Quantz (1697-1773)
Affettuoso - Alla breve - Larghetto - Vivace
プロイセンのフリードリッヒ大王のフルートの先生として知られているクヴァンツは、優れたフルート奏者であったばかりでなく、フルート製作も行ない、また当時の重要な音楽理論書「フルート奏法試論」の著者でもある。このトリオはリコーダーとトラヴェルソ、通奏低音のために書かれた貴重なレパートリーのうちの一つである。リコーダーとトラヴェルソの音色は微妙に違うものの、本質的にはよくとけ合い、魅力的な響きを生み出している。(太田)

リコーダーソナタ ハ長調/テレマン(リコーダー+B.C.)
Sonata in C major for Recorder & BC / Georg Philipp Telemann (1681-1767)
Adagio & Allegro - Larghetto - Vivace
当時バッハを凌ぐほどの地位と名声を受けたドイツを代表するテレマンの作品は、質&量ともに膨大で、彼自身リコーダーやフルートに興味をもって演奏したこともあり、その中には多くのリコーダーのための曲が残っている。この曲は『音楽の練習帳』という様々な楽器の編成で収められている曲集の中のリコ−ダ−のための1曲で、短い曲ながら、全体を通じてこの楽器の魅力を最大に引き出した作品と言える。(奥田)

グレース、ドゥ・ベロンブレ/デュフリ(チェンバロソロ)
Les Graces, La de Belombre / Jacques Duphly (1715-1789)
デュフリはルイ14世の統治最後の年に生まれ、フランス革命でバスティーユ牢獄が襲撃された年に亡くなっている。グレースとはギリシャ神話に出てくる優雅と歓喜を象徴する3人の女神を指している。ドゥ・ベロンブレという人物は定かではない。(三橋)

3声の組曲 ホ短調より/マレ
from [Suite en Trio mi mineur] / Marin Marais (1656-1728)
Prelude - Menuet - Caprice - Passacaille
マレはヴィオラ・ダ・ガンバ奏者としてフランスばかりでなくヨーロッパ全土で名を知られていた。この組曲は、組曲とはいうものの同時代の鍵盤組曲等とは違い、特定の舞曲配置は存在せず、導入曲、舞曲、対位法を主体とする曲、固執低音に基づく変奏曲など多種多様な様式が含まれる。(三橋)

休憩

トンボー、公爵、彗星/ガロ(リュートソロ)
Pieces de Luth compos仔s sur differens modes / Jacques Gallot (?-c1690)
Tombeau du Murechal de Turenne - Allemande
La Groudeuse - Courante
La Comete - Chaconne
ガロ・ファミリーは17世紀フランスで演奏家、作曲家として活躍したリュート一族であり、ジャック・ガロはその中でも最も演奏家として成功をおさめた一人である。パリで刊行された彼の「様々な旋法で作られたリュート曲集」は、旋法や舞曲の種類により分類されており、後に完成されるバロック組曲形式の先駆け的存在である。(佐野)

組曲 ニ短調/ドルネル
Suite en Re mineur / Louis-Antoine Dornel (c1680-1756?)
Prelude - Allemande - Sarabande - Gigue - Menuets en rondeau - Passacaille
フランスのオルガニストであり作曲家のドルネルのその生涯については、謎に包まれている。この組曲が収められている曲集は、1つはヴァイオリンソナタとフルート組曲、他方はトリオソナタの2つの器楽曲集から成り、現存する彼が初めて書いた本格的な器楽曲集とされており、コレッリとイタリア様式に大きく影響を受けている。(奥田)

フルートソナタ ニ長調/クラインクネヒト(フルート+チェンバロ)
Sonata in D major for Flute & BC / Jacob Friedrich Kleinknecht (1722-1794)
Amoroso e largo - Poco allegro - Presto
バイロイト宮廷でフルート奏者として活躍していたクラインクネヒトは、その後はヴァイオリンに転向し、楽長にまで昇りつめた。この曲は、彼がヴァイオリンに転向した後に出版されているが、ニ長調というフルートに最も適した調性の選択や音型等、まさにフルート奏者による作品にほかならない。ピアノとフォルテの交代によるダイナミクスの変化があちこちで見られることなどで、当時の典型的な多感様式の書法であることがうかがえる。(太田)

コンチェルト ホ短調/テレマン
Concerto in e minor / Georg Philipp Telemann
Largo - Allegro - Largo - Presto
異なる2つの楽器をソロ楽器とした協奏曲は多く存在するが、リコ−ダ−とフルートという組み合わせによる曲は非常にめずらしい。「たて」と「よこ」のフルートの対比は全楽章を通じて効果的に示されているが、それぞれの特性を活かしながら、時にはまるで全く同じ楽器であるかのように響く場面も多く、その微妙な違いの表れはとても興味深い。本来は、ソロ楽器の他にヴァイオリン2パート、ヴィオラと通奏低音という編成であるが、本日はソロ楽器以外のパートをチェンバロとバロックギターのみで担当する。(太田)


クリスタルチャペルコンサート2003へ戻る