クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 2002年
演奏風景、解説、プログラム


"No.45-バロック・アンソロジーVol.1"
2002.5.22.


平井満美子/ソプラノ 佐野健二/アーチリュート

2002.05.22.


ルネサンス・アンソロジーVol.1,2に続く今回の「バロック・アンソロジー Vol.1」ではイタリア初期バロック作品とイギリスのオルフェウスと称されたパーセルの作品を演奏いたします。  17世紀、神を頂点とする均整のとれたルネサンスから人間中心のバロックへと世の中は移り変わり、音楽にも大胆な主張や新しい手法が生み出されました。
 声楽曲に於てはモンテヴェルディの「ラメント」に見られる語りの手法、カッチーニの「アマリリ」における感情の表出、ストロッツィ「私の涙」の大胆な和声の扱い等に初期バロック音楽の神髄を見ることが出来ます。パーセルは、イタリアからの影響を受けながらも独自の世界を作り上げ、彼の作品にはみごとな抑制と劇的表現が共存しています。
 そして、ルネサンスに於ては声楽曲よりの発展物といえた器楽曲も、バロック期において新たな方向を模索しなくてはなりませんでした。しかし、そのマイナス要素はピチニーニ、カプスベルガーらの創作意欲を刺激し、トッカータに代表される17世紀の器楽作品を生み出し、後の純粋な器楽曲の発展へつながる結果となりました。
 それでは今宵、新しい時代の幕開けともいえるバロック初期の作品の数々をお楽しみ下さい。



Programme

主を讚えよ Laudate Dominum
Claudio Monteverdi モンテヴェルディ (1567-1643)
聖なる主をほめたたえよ チューバやプサルテリウム チターラや太鼓
チェンバロや合唱の音で全知全能の神をほめたたえよ アレルヤ

トッカータ Taccata / Alessandro Piccinini ピチニーニ (1566-c.1638)

いとしいリラ Cantada a voce sola sopra il Passcaglia
Giovanni Felice Sances サンチェス(c1600-1679)
いとしいリラを奪われた 愛は傷つき失われる
私の愛がリラの心からも追放される でも私の愛は誰にも邪魔されることはないのだ

トッカータ Toccata No.1
Giovanni Girolamo Kapsberger カプスベルガー (c.1580-1651)

私の涙 Lagrime mie / Barbara Strozzi ストロッツィ (1620-? )
息も絶えるこの激しい痛みを押し流してくれないのか わが愛しのリディアは
捕らわれの身 死にも情けがあるのなら我が命を奪え 悲しみの目よなぜ泣かぬ

Interval

グラウンド Ground / Henry Purcell パーセル (1659-1695)

音楽は愛の糧 If music be the food of love / H. Purcell
私が歓びでいっぱいになるまで歌いつづけよ・・・

嘆きの歌 The plaint / H. Purcell
おお、泣かせて下さい!いつまでも泣かせて下さい!・・・

アマリリ麗し Amarilli mia bella
Giulio Caccini (c.1550-1618)カッチーニ,Giovanni Nauwach ナウバッハ
君こそわが恋人 もし不安におののくのなら矢をとって
この胸を開き心に刻まれた言葉を見よ アマリリこそわが恋人

半音階風トッカータ Toccata Cromatica XII
Alessandro Piccininiピチニーニ (1566-c.1638)

アリアンナの嘆き Lamento D'Ariana / C. Monteverdi モンテヴェルディ
大きな苦しみの中にいる私を死なせてください
ああテゼオ むごい方 目の前から消え去るなんて
あなたの誠意はどこへいったのですか 王座をすてあなたを信じたあわれなアリアンナ
母よ 父よ 友よ 愛しすぎ 信じすぎる者はこのようになるのです

使用楽器
14-course Archlute : Martin Haycock 1999

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