クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 2002年
演奏風景、解説、プログラム


"No.43-ルネサンス・アンソロジー"
2002.1.23.


平井満美子/ソプラノ 佐野健二/ヴィウエラ、リュート、ルネサンスギター

2002.01.23.


 2002年最初の佐野健二のリュート音楽の楽しみは、第43夜「ルネサンス・アンソロジー Vol.1」です。
 アラブに源を持ち、十字軍の遠征でイベリア半島に持ち込まれたリュートは、その魅力的な容姿と響きゆえ、瞬く間にヨーロッパ全土に広まりました。16世紀、リュートは宮廷楽器としての地位を確立し、多くの優れたリュート奏者は恵まれた環境で、多数の優れた作品を生み出しておりました。独奏、器楽伴奏、踊りの伴奏とすべての音楽の中心に位置したリュートはまさに隆盛を極めたのです。しかし、どういうわけかルネサンスのスペインではリュートよりもヴィウエラが愛好されました。その理由には宗教的な背景があるとも言われていますが定かではありません。調弦はリュートと同じなのですが、形態からはギター族に分類される楽器です。
 16世紀、ギターはリュートの繁栄に隠れ目立たない存在ですが、ルネサンスギターは安価で手軽な楽器としてたいそう庶民に愛好されました。リュート音楽の焼き直し版的な感はあるものの、職業音楽家の手による芸術的作品集も多数出版されています。
 それでは今宵、歌とヴィウエラ、ルネサンスギター、リュートによるルネサンス中期の音楽にて、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、イギリスといったヨーロッパの国めぐりをお楽しみ下さい。



Programme

《Spain / 6-course Vihuela in A》
ファンタジア Fantasia / A Mudarra (c.1510~1580)
恋人よ私を連れ去れ Leuay me amor / Luis Mian (c.1500~after1561)
パヴァーヌ Pavana V / Luis Mian
愛を征服したい Al amor guiero vencer / Luis Mian
甘い思い出 Doulce memoire / Pierre Sandrin (c.1490~c.1561)
レセルカーダ Recercada Segunda / Diego Ortiz (c.1510~1570)

《Germany / 6-course Lute in G》
プレリュード Preamble (1536) / Hans Newsidler (1508 or 09~1563)
イタリア風舞曲 Die folget ein welscher tanz Wascha mesa / Hans Newsidler
インスブルックよ、さようなら Insbruck, ich muss dich lassen / Heinrich Issac (c.1450~1517)

《Italy / 6-course Lute》
愛の証はいとしい人 Madonna, quel certezza / P. Verdelot (1470~befor1552)
ファンタジア Fantasia 42 (1536) / Francesco da Milano (1497~1543)
辛抱強くあなたに従う Ostinato vo' seguire / Bartoplomeo Tromboncino (c.1 470~1535)

Interval

《France / 4-course Guitar in A》
プレリュード Prelude (1552) / Adrian le Roy (c.1520~1598)
束縛されて生きたから Puis que viure en feruitute (1551) / Adrian le Roy
ブルゴーニュのブランル Brale de Bourgongne / Adrian le Roy
孤独な場所へ遠ざかり Mes pas semez et loig allez / Adrian le Roy
喜びがないのは罪 Ce n'est bien ne plaisir / Adrian le Roy

《France / 6-course Lute》
何もしない 何も言わない Je ne fay plus / Antoine Busnois (c.1430~1492)

《England / 6-course Lute》
若いときには・・・In Youthfull Years / Anon.
ケンプのジグ Kemp's Jig / Anon.
運命はいまは我が敵 Fortune Is Now My Fo / Anon.
ジグ Jig / Anon.
これ以上 言葉はない But This And Then No More / Anon.

使用楽器
Vihuela da mano=Kenji Sano 2001
6-course lute=Martin Haycock 1993
Renaissance guitar=Kenji Sano 2001

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