クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 2001年
演奏風景、解説、プログラム


"No.42-英国リュート歌曲集"
2001.11.14.


平井満美子/ソプラノ 佐野健二/Gリュート、Fリュート、リウトアテルバート

2001.11.14.


佐野健二のリュート音楽の楽しみ第42夜は、「英国リュート歌曲集」と題し、新CD「クロリスはため息をつき・CHLORIS SIGH'D」の収録曲より演奏致します。
 エリザベス朝のリュート・ソングは、マドリガルの多声音楽とイギリス音楽特有のメロディックな主旋律、そしてリュートという楽器の持ち味を十二分に絡み合わせたルネサンス後期のイギリス音楽で最も花開いたジャンルでありました。そしてモノディー様式は旋律とバス声部のみが記されており、言葉の聞き取りにくい多声音楽に比べカメラータの理念である言葉による説得に適しており、また伴奏譜がタブラチュアにより全ての音が記されているルネサンスのリュート歌曲より、バス声部より和声を即興的に演奏する通奏低音という伴奏形式は、演奏者の気持ちをより音楽に反映させやすい形態といえるでしょう。
 ともすれば、ルネサンスのリュートソングのあまりの繁栄の後、初期バロックのイギリスにおけるリュート歌曲の存在価値は希薄かも知れません。しかしそこには風前の灯火のような残り火ではなく、明らかにイギリスの風土でのみしか育ちえない優れた作品が残されています。演劇と音楽をこよなく愛したイギリスの人たちはいつの時代にも、やさしさ、悲しみ、激しさ、そして、うれしさを歌に託しました。そして新しい時代が訪れてもその歌にそっと寄り添うのはリュートだったのです。(CDライナーノートより抜粋)



Programme

Part I

森よ 岩よ 山よ
Woods, rocks and mountains / Robert Johnson

おやすみ かわいい少女たちよ
Rest sweet nimphs / Francis Pilkington

あなたの愛を求めたら
What if I seek for love of thee? / Robert Jones

サモン氏のコラント
Mounsier Samon his corant / Robert Dowland

なぜ偉大な美は 美徳の名声をのぞむのか
Why should great beauty virtuous fame desire / William Lawes

クロリスはため息をつき 歌い 泣いた
Cloris sigh'd and sang, and wept / Anon

女王・マスク
The first of the Queenes Masks / Robert Dowland

ああ 我が目の涙がやがて洪水となり
O that mine eyes could melt into a flood / Thomas Brewer

Part II

ファンシィ
Fancy / John Dowland

流れよ わが涙
Flow my tears / John Dowland

ラクリメのガリアルド
Galliard to Lachrimae / John Dowland

わが恋人が泣くのを見た
I saw my lady weep / John Dowland

語れ 真実の愛よ
Tell me true love / John Dowland

ああ死よ 優しく私を眠らせてくれ
O Death, rock me a sleep / Anon

悲しみを忘れさせる眠りよ
Care, charming sleep / Robert Johnson

ついため息を
Oft have I sighe'd / Thomas Campion

使用楽器
Lute in G * Martin Haycock 1996 Lute in F * Poul Thomson 1988
Liuto Attiorbato * Junji Nishimura 1985

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