クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 2001年
演奏風景、解説、プログラム


"No.39-佐野健二リュート・リサイタル ENGLAND to ITALY"
2001.05.23.


佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート、

2001.05.23.


 佐野健二のリュート音楽の楽しみ第39夜は、「イギリスからイタリア」へと題し、ルネサンス後期のイギリスリュート音楽とイタリアの初期バロックリュート曲を演奏致します。
 第一部で演奏する作品の作曲家はエリザベス朝を代表するリュート演奏家ですが、とりわけジョン・ダウランドはルネサンスのリュート音楽を語るときにはなくてはならない存在です。あまりに完成されたメランコリーな彼の作品は、16世紀末に流行った瞑想的風潮と同調し、多くの人々の心を捕え、リュート音楽の最高峰を築き上げました。
 16世紀から17世紀、時代はルネサンスよりバロックへと移りつつありました。均整のとれたルネサンスの世界感は、神を頂点とする体系からなりたち、人々は調和のとれた世界を求め、楽しんでいました。しかし17世妃、神をも恐れぬ人間は、新しい刺激を求めてバロックの世界を作り出していくのです。人は自らの気持ちを素直に、露骨に、そして大胆に表し始めたのです。
 ルネサンスの時代、すべての文化の源ともいえた文芸復興の国イタリアでも、新しい時代の幕開けといえるバロック音楽(17世紀)にとりリュートはなくてはならない存在でした。声楽曲はリュートを良き伴侶としいかにして言葉と楽音を結び付け、人々を説得するかを追及していきました。器楽曲に於いては、声楽音楽より派生したルネサンスの器楽曲に対して、バロックでは、おのおのの楽器独自の可能性を追及し、歌心と共に技巧を誇示する華やかなスタイルを作り上げて行きました。
 それでは今宵、古きよきイギリスのリュートバラードとバロックの幕開けともいえる17世紀のイタリアのリュート音楽の数々をお聴き下さい。



Programme

第一部:エリザベス朝のリュート・バラード
Elizabethan Lute Ballads

グリーンスリーブス Greensleeves / Anon.-Francis Cutting
シャープ・パヴァーヌ Sharp Pavane / Richard Arrison
ガリアルド The Galliard / Anon.
ロサ Rosa / John Daniell

《John Dowland ダウランド (1563-1626)》
ファンシー Fancy
行け我が窓辺よりGo from my window
ハンスドン婦人のパフ Lady Hunsdon's Puffe
ラクリメ Lachrimae
ファンタジー Fantasy

Interval

第二部:イタリア初期バロックのリュート音楽
Italian Early Baroque Lute Music

《Giovanni Zamboni ザンボーニ (17c.)》
アルペジオ Arpeggio

《Alessandro Piccinini ピチニーニ (1566-1638) 》
トッカータ Toccata

《Girolamo Frescobaldi フレスコバルディ (1583-1643) 》
トッカータとカンツォン Toccata & Canzon ultima

《Giovanni Girolamo Kapsberger カプスベルガー (c.1580-1651) 》
トッカータ Toccata No.1
ガリアルド Galliard

《Giovanni Zamboni ザンボーニ》
組曲
Sonata/Alemanda-Giga-Sarabanda Largo-Fuga

使用楽器
7-course lute : Martin Haycock 1990
14-course liuto attiorbato : Junji Nishimura 1985

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