クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 2000年
演奏風景、解説、プログラム

"No.34-MUSIC FOR A WHILE つかの間の音楽"
2000.7.18.


平井満美子/ソプラノ 佐野健二/アーチリュート

2000.7.18.2000.7.18.


 佐野健二のリュート音楽の楽しみ第34夜は、ヘンリー・パーセル作品集「つかの間の音楽」と題し、新しいCDの発売記念コンサートです。
 「イギリスのオルフェウス」と呼ばれたヘンリー・パーセルはわずか36年の短い生涯に800曲もの作品を作り出しました。幼いころから神童とさわがれていたパーセルは当時の音楽ジャンルの殆どを網羅しており、質、量ともにイギリス・バロック時代に於ける最大の作曲家といわれています。
 パーセルの歌曲は、ルネサンスのはやり歌やリュートソング風のアリアからドラマティックなイタリアオペラのアリア風な作品、半音階を多用したレシタティーヴォ等、きわめて多様性にとんでおり、パーセルの作品の中でも歌曲が最もよく彼の豊かな音楽性を示しています。
 王政復古当時のイギリス歌曲は、イタリアから伝えられた通奏低音の伴奏で歌われるモノディー様式の影響を受けていました。感情の表出を音と言葉に託す、バロック音楽の始まりとも言える新しい性格の音楽なのですが、パーセルはそのイタリアからの新しい風と、エリザベス朝に隆盛をきわめたリュート歌曲や、はやり歌に見られるイギリス音楽の旋律線の美しさの伝統、そして英語を見事に融合し、独自の音楽を作りだしたのです。パーセルの筆から紡ぎだされる音楽は、斬新さと共に人々に安らぎをもたらしました。パーセルの才能はまさに世の中の動向とかけ合わされ花開いて行きました。
 今回の、そしてCDのタイトルでもある「つかの間の音楽」。パーセルの想いが、そして私共の演奏が、つかの間のひとときを皆さまを安らかに満たす事を願います。パーセルの筆より紡ぎだされた旋律の泉に身を委ね、愛の言葉に見る心の高揚を、希望を、喜び、絶望、独り言、そして、ささやきをお楽しみ下さい。
(CDライナーノートより)



programme

●恋人の心配 The cares of lovers
その驚き、そのため息、その涙は力強い魅力を持っている・・・

●運命の時は足早にやってくる The fatal hour comes on a pace
それを見るくらいなら死んだ方がましだ・・・
●音楽は愛の糧 If music be the food of love
私が歓びでいっぱいになるまで歌いつづけよ・・・

●ああ、恋することは何とすばらしい! Ah! how sweet it is to love
ああ若者の欲望とは何と陽気なのだろう・・・
●グラウンド Ground (orig. for harpshicord)
●おまえの手をかしておくれ、ベリンダ Thy hand, Belinda
暗闇が私を隠している、おまえの胸で休ませておくれ・・・

●わが苦悩のすべて Not all my torments
私の苦しみで、あなたの同情心を動かすことはできない・・・
●嘆きの歌 The plaint
おお、泣かせて下さい!いつまでも泣かせて下さい!・・・
- interval -
●シャコンヌ Chaconne (orig. for 2 recorders and B.C.)

●幾重にも幸せな恋人たちよ Thrice happy lovers
人を悩ます悪魔であるやきもち、結婚生活につきものの・・・
●バラよりも甘くSweeter than roses
バラの花より、涼しい夕のそよ風が、暖かい花咲く岸辺に・・・

●優しい空気の精たちよ Ye gentle Spirits of the Air
現れよ、用意して、その優美な声をここに仲間入りさせよ・・・
●沈黙の闇の国から From Silent Shade
悲しみのうちにこの世を去った魂が恋を嘆く楽園の森から・・・
●つかの間の音楽 Musik for a while
悩みをまぎらわせたまえ、いかに苦しみが和らいだかを考え・・・


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