クリスタルチャペルコンサート
Young Musician's Series No.3
バロックの宮廷音楽 Music of the Court
~Carpe Diem~
2000年4月27日(木)P.M.7:00


中村俊子/フラウト・トラヴェルソ
橋詰玲子/ヴィオラ・ダ・ガンバ
佐野健二/アーチリュート(通奏低音)
2000.4.27.

中村俊子/フラウト・トラヴェルソ
大阪音楽大学器楽学部フルート科卒業。卒業演奏会、フルート協会新人演奏会、大阪芸術祭「室内楽へのアプローチ」などに出演。倉敷音楽祭で、バルトルド・クイケン氏、有田正広氏の公開レッスンを受講。フルートを曽根亮一、トラヴェルソを有田正広、藤田隆の各氏に師事。在学中より各種の演奏会及びレクチャーに多数出演、多方面で活躍している。
橋詰玲子/ヴィオラ・ダ・ガンバ
大阪音楽大学器楽学部卒業。坂本利文、西村喜子、宇田川貞夫の諸氏に師事。「聖グレゴリオの家」「インスブルック音楽祭」にて、W.クイケンのマスタークラスに参加、B.クイケン、R.コーネンにアンサンブル指導を受ける。 ソリスト及び通奏低音奏者としてアンサンブルに活発に取り組んでいる。“オルティス・ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団”メンバー。
佐野健二/アーチリュート
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。



Programme

<Part I>

F.Couperin クープラン
Concerts Royaux II 王宮のコンセール2番

プレリュード/フーガ風アルマンド/優しいエール/フーガ風エール/エコー
Prlude - Allemande Fugue - Air Tendre - Air Contre fugue- echos
クープラン一族はドイツにおけるバッハ一族と同様、すぐれた音楽家の家系であり、バッハ一族のヨハン・セバスティアンに当たるのがこのフランソワであり“大クープラン”と呼ばれている (1668~1733)。“王宮のコンセール”はその名の様に太陽王ルイ14世の宮廷で日曜毎のコンサートで演奏する為に作られたものである。当時のフランス貴族文化は洗練・円熟の極に達しており、そのような優雅な時代の作品である。(橋詰 玲子)

J.M.Lecleir ルクレール
Sonata VII ソナタ第7番 ト長調

Andante - Allegro ma non troppo - Aria - Giga
達者な舞踏家でもあったヴァイオリニスト、ルクレール (1697~1764) は17世紀のフランスに、イタリアの高度なヴァイオリン奏法を取り入れた音楽家である。彼の作品はすべて、彼自身が演奏した楽器、ヴァイオリンのために書かれているが、今日演奏する曲も含めて、何曲かは、フルートあるいはオーボエでも演奏できる曲である。作風はイタリア風のソナタ・ダ・キエザ(教会ソナタ)の形をとり、緩・急・緩・急の4つの楽章からなる。(中村 俊子)

M.Marais マレ
Piaced de Viole du IV ヴィオール曲集IV巻より

村祭り/アラベスク/夢見る女/ 優美なロンド
Feste Champ腎re (in e) - L'Arabesque (in F) - La Reveuse (in f) - Rondeau le Gracieux (in D)
マラン・マレ (1656~1728) は靴屋の子として生まれ、10歳からは聖歌隊に入り、音楽の基礎を学んだ。23歳で〈国王のシャンブル付きヴィオル奏者〉に就任したと共に作曲を始める。その演奏はまるで天使のように雄弁で魅力的であったと伝えられている。今日の作品はマレ61歳の時(1717年)に出版されたもので、はじめの3曲は“風変わりな趣味”(Suite d從 go柎 Etrander)と名付けられた組曲の中からのもので次々に調が転開してゆく。(橋詰)

<Part II>

G.Ph.テレマン
Twelve Fantasias 12のファンタジアより

No.1 A major Vivace - Allegro
No.2 A minor Grave - Vivace - Adagio - Allegro
No.3 B minor Largo(-Vivace - Largo - Vivace) - Allegro
テレマン (1681~1767) は、J.S.バッハと並ぶバロック後期、ドイツの大作曲家で、当時はバッハをしのぐ人気を享受していた、音楽史上でも際立った多作家として、知られている。この曲集は、テレマン自身が銅版を彫って印刷、刊行した楽譜には、鉛筆でテレマンの名と「バスなしの、ヴァイオリンのためのファンタジー」と記されているが、音域や、楽器特有の書法から、ヴァイオリンでなく、フルートのための音楽と認められている。曲集全12曲にわたって自由な構成で、調性や拍子も多様、多彩である。(中村)

C.Fr.Abel アーベル
Pieces in D minor ニ短調の小品

WKO.205 - WKO.206 - WKO.208 - WKO.209 (Adagio)
カール・フリードリッヒ・アーベル (1723~1787) は代々続くガンバ奏者の家系に生まれ、J.S.バッハの同僚であった父からガンバを学んだ。彼はドレスデンの宮廷に仕えていたが、1759年以降は英国で活動した。J.S.バッハの息子のJ.クリスティアン・バッハとバッハ=アーベルコンサートを行ったことは有名である。又、彼は3世紀に渡るガンバの歴史の最後のヴィルトゥーゾとなった。(WKO.はW.クナーペの作品カタログによる)(橋詰)

J.M.Hotteterre オトテール
Suite op2-4 組曲ホ短調

プレリュード/フォンテンブローの森/別れ/花/ミチルダ/村の踊り/美しい場所
Prlude - Allemande - Sarabande - Air - Gavotte - Branlede vilage - Menuet
オトテール一族は、ドイツにおけるバッハ一族と同じくすぐれた音楽一族で、17、8世紀のフランス音楽を担う重要な音楽ファミリーであった。木管楽器の製作において、ルネッサンス楽器からバロック楽器に変貌させるのに、大きな役割を果たしている。そして、それらの楽器の演奏や作曲においても最前線に立っていた。そんなオトテール一族の中でも傑出していたジャック・マルタン(1684?~1762)は、「王室のフルート奏者」の称号をもつ偉大なフルート奏者で、また1707年に「フルートの原理」をパリで出版している。今日演奏する曲は、翌1708年に出版され1715年に再版された《フルート作品集 第1巻 作品2》の第4番目の組曲でプレリュードより始まり、その後6つの舞曲が続いている。(中村)


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