クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 2000年
演奏風景、解説、プログラム

"No.32-The Variety of Lute Songs リュート歌曲の様々"
2000.3.22.


平井満美子/ソプラノ 佐野健二/ルネサンスリュート、バロックリュート、アーチリュート
2000.3.22.2000.3.22.


 リュート音楽の楽しみ第32夜はリュートソングの様々と題し、歌とリュートによるフランスとイギリスの調べをお楽しみ下さい。
 16世紀ヨーロッパではリュート伴奏による歌曲がたいそう好まれておりました。「歌とリュート」という組み合わせはルネサンス、バロックのアンサンブルにおいて最小規模の編成といえるのですが、最も言葉のニュアンスを伝えやすい組み合わせでもあり、リュートは常に、歌い手の言葉、そして様々な表情や感情を支え、時には寄り添い、時にはリードする最良のパートナーとして愛好されたのです。  ルネサンス時代のリュート歌曲はタブラチュア(リュート用の楽譜)によりリュートパートの全ての音が記されていました。特にイギリスでは多くのリュート奏者がリュート歌曲を出版しており、ひとつのジャンルを作り出しています。
 バロック時代になると通奏低音という手法が伴奏記譜の中心となり、最低音と和音の種類を示す数字や記号が付けられているのみの楽譜になりました。この手法は作曲家の意図を伝えるという部分についてはあいまいになりましたが、演奏者に自由を与え、一つの楽譜から様々な楽器が演奏できるという表現の上での可能性の広がりをもたらしました。本日演奏するパーセルやラニエー等の楽曲は、チェンバロ、オルガン、ハープ、ギター、ガンバ、チェロ、リュート、等の楽器で様々な組み合わせの通奏低音でも伴奏することが出来たのです。
 それでは、今宵はルネサンスのリュート歌曲、リュート伴奏によるバロック歌曲、そしてバロックのリュートソロをお聴き下さい。 



programme

●恋人よバラを見にいこう Mignonne, allons voir si la rose
夜明けに咲いたバラ 夜には散ってしまう あなたの美しさも今が盛り
すぐに失せてしまうもの 今こそ恋をしましょう
●恋の過ち J'ay bien mal choisi / Branles de Village/Robert Ballard
若者は 恋の過ちを多々おかす まじめに誠意を尽くしても
間抜けな目にあうこともある でもおそれずに

●パヴァーヌ Lute Pavan No.1 / Anthony Holborne
●恋人よ おやすみ Rest sweet ninph / Francis Pilkington
恋人よ ゆっくりおやすみ あなたのかわいい瞳を閉じて
私のリュートはそれを見守るように奏でる 何にもおびえずしずかにおやすみなさい
●いとしい人 Misteresse mine / Thomas Morley
いとしい人よ ヴィーナスは恋を成功に導いてくれる この陽の輝くやさしい朝は
愛する喜びを人生にもたらす 私をつかまえてキスをして 恋とはそうゆうもの
●それは恋人たち It was a lover and his lass / Thomas Morley
娘と恋人が かけ声かけあって 青い麦畑をかけぬけるヘイ、ホー
それは春の日、君と契る何より良い日 恋人たちは春が大好き

●組曲Pieces de Luth / Francois Dufaut
Prelude-Allemade-Courante-Le Berceau, Canarie-Sarabande-Gigue


●私の恋人 Ma belle si ton ame
あなたは恋心に火をつけた 若さとはすぐに逃げてしまうもの
夜の影につつまれぬうちに さあ人生を楽しみましょう
●頭の痛む時 Qui vent chasser une migraine / Gabriel Bataille
 さあ いい酒を飲もう 食卓にはどっさりソーセージとハムをのせて
水は胸を腐らすだけ ぐっと飲んだらすぐ注ごう
●甘い魅力の持ち主 Objet dont les charmes si doux / Antoine Boesset
 私はすっかりあなたの虜となってしまった あなたのそばにいないと苦しくて涙する
でもあなたを見れば 喜びのあまり死んでしまいそう
●楽しいことにうれしいことに Aux plasir, aux delices, bergeres
 羊飼いの娘たちよ 若く美しい日々は すぐに過ぎ
失われていくのだから恋に 楽しいことに費やしなさい

●朝焼けが示すもの Mark how the blushful morn / Nicholas Lanier
恥ずかしそうに朝露にぬれるマリーゴールドも陽の光にあたためられ
かたくなな心を解きはじめるように 恋は育っていく
●あなたの道をゆきなさい Go thy ways since thou wilt go / anon.
すべてを変え 私の前からきえてしまっても その美しい瞳を恨みはしない
すべてを新しくしても もうあなたは 時代遅れ 後悔するにも遅すぎる
●なぜ偉大な美は高潔な名声をほしいのか Why should great beauty virtuous fame desire / William Lawes
美しさの名声はまもられないから 美しい人は高潔な名声をほしがるのか
彼はあなたの美しさに感心し あなたの美徳 高潔に気づいている
●ため息も 涙も 悲しみもなく Neither sighs, nor tears, nor mourning / Nicholas Lanier
 冷やかで かたくなな彼女は 私からすばやく逃げ
私の悲しみをあざける キューピッドよ 願わくは 彼女に弓をひいてくれ

●シャコンヌChaconne / Henry Purcell
●沈黙の闇の国からFrom Silent Shade / Henry Purcell
哀れなベス 恋の病を癒しにこの世にやってくる
でもこの世は狂気にみち溢れ 恋の病も治らない 


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