クリスタルチャペルコンサート
佐野健二のリュート音楽の楽しみ 第29夜1999年9月29日
演奏風景、解説、プログラム


"No.29-The Music of Henry Purcell ヘンリー・パーセル"
1999.9.29.
平井満美子/ソプラノ 佐野健二/アーチリュート

1999.9.29.1999.9.29.


 「佐野健二のリュート音楽の楽しみ」第29回目は、「つかの間の音楽」と題し、ヘンリー・パーセルの音楽をお聴き下さい。
 17世紀後半、イギリスはチャールズ2世の即位期で大変に裕福な情勢にあり、人々は様々な娯楽を求めていました。もともと演劇等、舞台芸術好きなイギリス国民、演劇と音楽を結びつけ始めます。同時期、ヨーロッパにはオペラの時代が訪れており、イギリスでもイタリア・オペラなどの上演が試みられました。しかしイギリスでは、清教徒革命による禁欲主義の影響のせいか、オペラは歓迎されず、むしろ物語の進行とはあまり関係なく、音楽が自由に挿入されている音楽付き演劇が好まれました。
 パーセルの音楽で特に注目すべきジャンルは、まさにこの劇場音楽と呼ばれる舞台劇場に関連する音楽でした。彼の創造性に富む旋律の流れと、声楽曲における英語の表現能力における才能は世の中の動向とかけ合わされ花開いて行きました。
 鍵盤楽器奏者としても優れた才能を示したパーセルはウェストミンスターのオルガニストでした。パーセルはハープシコードの為の組曲や弦楽のためのファンタジア等多くの器楽作品も残していますが、残念ながらリュートの為の独奏作品は作曲しませんでした。今日は2曲のソロ曲を演奏いたしますが、「グラウンド」はハープシコードの為に、「シャコンヌ」はふたつのリコーダーと通奏低音の為に書かれたものを、リュート独奏用にアレンジしたものです。
 それでは今宵、清列な表現意欲に溢れながらも品格の高いパーセル作品の数々、お楽しみ頂ければ幸いです。


programme

運命の時は足早にやってくる The fatal hour comes on a pace

音楽は愛の糧 If music be the food of love
彼女が私から逃げていく I see she fly's me
恋人の心配 The cares of lovers

グラウンド Ground (orig. for harpshicord)
幾重にも幸せな恋人たち Thrice happy lovers

シーリアの魅力は数えきれないのです Celia has a thousand charms
わが苦悩のすべて Not all my torments

休憩

シャコンヌ Chaconne (orig. for 2 recorders and B.C.)

夕べの賛歌 Evening Hyme
ああ、恋することは何とすばらしい! Ah! how sweet it is to love
いとしのベリンダ Thy hand, Belinda

優しい歌の精たちよ Ye gentle Spirits of the Air
沈黙の闇の国から From Silent Shade
つかの間の音楽 Musik for a while


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